『脳内ニューヨーク』を観る。チャーリー=カウフマンの初監督作品で、虚構世界の入れ子構造を正面から題材としており、当然のことながら実際の監督と観客はその外にいるメタ構造を前提として、理解できない状況を理解したいという動機に支えられた物語なので、その難解さは『マルコヴィッチの穴』どころではない。主人公は世界のダイレクションから降りることによってついに世界を解明するのだがもちろんそれ自体が虚構であるというややこしい話を、まがりなりにもまとまった話にしている構築力はさすがだし、カウフマン以外にこうした作品を創ることができるとは思わないが、この124分は多くの観客の忍耐を試すに違いない。