シャッターアイランド

leaf『シャッター アイランド』を観る。冒頭から不穏な雰囲気は漂っているし、そもそも幻影と現実の区別がつかないという演出であれば、惹句が何と言おうと、謎解きを興味の中心に据えて観るには無理がある。パズルの絵柄は何となく見えていて、それをパタパタと組み合わせるあたりに気持ちよさの出てくる展開であって、もちろんそこはスコセッシのことであるから138分の長尺をそうとは思わせないくらいの手際はある。ディカプリオもよい演技をしているが、何となく型が固まってきてしまった感じがあって、新境地を目指すことも必要なのではあるまいか。マーク=ラファロが重要な役柄で出演しているのはうれしい。役者も豪華だし、舞台装置もきちんとしているので、「謎解き」自体が想定の範囲であったとしてもどうということはない。実際のところ、最後の最後、「どんでんがえし」はきちんと用意されていて、宣伝もあながち誇張というばかりではないのである。ただし、その理解は大きく観客に委ねられているので、ピンとこない人間も多いに違いない。かくして本編が始まる前に、世にもお節介な注意書きが掲げられているのだけれど、そんなことを言われても、わからん人はわからんのである。