3段構え

小沢勝利、ということになりでもすれば、また深く悩んでしまうことになったと思うのだが(そういえば、またしても鳩山は道化を演じた)そういう展開にはならず、菅氏の再選。
それはともかく、この内閣では9月10日に「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」というのを閣議決定しているのだが、内容以前に、やはり「3段構え」というあたりに反応してしまうわけである。恐らく書式の要請から算用数字を用いているところは措くとして、いや、やはり「三段構え」でなければ間が抜けているという気はするのだが、この言葉は日本海海戦の故事に倣ったもので、「皇国の興廃、此の一戦に在り」とばかり、文書を起案した文官のアタマには参謀秋山真之が立案したという「ウラジオまでの七段の備え」があったに違いないのである。「坂の上の雲」というのはつまり軍事官僚の物語であって、いささかマニアックなこのあたりの言語感覚が、脱官僚を掲げる小沢的主張を前に提出されたというのが興味深く、我が国のテクノクラートの自己主張をみた思いがしたものである。もちろん、残念ながら「七段構え」でなければならないところ、「3段」というのはむしろ無策という印象を与えるのではあるまいかという懸念はあるにして。