『恋する宇宙』を観る。アスペルガー症候群の主人公が父を亡くし、恋をして、新たな場所で生活を始めるまで。『レインマン』や『フォレスト・ガンプ』ほど劇的な話ではなくて、よくある恋愛映画なのである。どうしてこのような設定が好まれるかはわからないが、おそらく天文好きの主人公が人並み外れてピュアであるという状況を作り出すための方便に過ぎないと思われ、ここではアスペルガーであることがかなり都合よく使われているような気がしてならない。
出来がいいのはむしろ画面の構成であり、それぞれの場面は幾何的に美しいレイアウトで撮影されていて、物語に安定感を与えている。話の筋が陳腐であるとして、こうした細部だけでもかなりの支持力を生んでいて、全体としてはそこそこの小品ということになるのではあるまいか。ヒロインは『ダメージ』のローズ=バーンで、その父の役で『The OC』でサンディを演じていたピーター=ギャラガーが出演している。