『クレイジー・ハート』を観る。ジェフ=ブリッジスがアカデミー賞の主演男優賞をはじめ各賞を総ナメにした作品で、アル中で落ち目のカントリーシンガーを演じている。ひと言で言えばマッチョ、よくあるといえばよくある人物設定が少しも嘘くさくないどころか、歌を歌わせればカントリー歌手そのものという熱演で、共演のコリン=ファレルも意外に歌が上手かったり、やはりハリウッドの役者というのは芸が深い。その脇をマギー=ギレンホールとロバート=デュヴァルが固めていて、結構な豪華キャストなのである。中年を通り越した男の復権の物語といえば最近では『レスラー』を思い出すけれど、あれよりは随分シンプルな演出で、浅いと言えば浅いのだけれど、先行きの見通しも多少は明るいので大向こうのウケはいいような気がする。