『ラスト・ソング』を観る。ロマンスの仕立てだが、マイリー=サイラス主演のディズニー映画である。したがって、出てくる人間は悪ぶっていても基本的に善人であり、物語の進行も予定調和のなかにある。主人公のロニーは両親の離婚によって問題行動を起こすようになり、特に別居の父親には辛くあたるのだが、実はジュリアード音楽院がむこうから入学を頼んでくるほどの音楽的才能の持ち主、というあたりの設定がまずすごい。一方、一緒にひと夏を過ごすことになった父親を無視するクソ生意気なガキを演じるマイリー=サイラスは適役というほかなく、ハンナ・モンタナなどよりよほど説得力がある。結局のところ単に未成熟なだけの主人公の振る舞いにどこまで我慢できるかで評価が分かれるという感じだが、後半には泣かせの設定も導入されており、それ自体、定型だとして飽きるところもあまりない。グレッグ=キニアが主人公の父親で、とうとうティーン・エイジャーの父を演じる歳になったということなのだろうが、なかなかいい雰囲気を出していて悪くない。