道は細くなり

久しぶりに遠方の事業所に外出して、よっこらしょとひと仕事片付けたその帰り、いつもとは違う道を開拓してみようかという冒険者魂に血迷って、峠を越える山道に分け入る。何しろ長野県のことであるから、人里を離れると山は急速にその急峻な斜面を現し、カーブの出口は見えず、そこかしこにある落石注意の看板と、塩カルも撒いた形跡のないうっすらと雪の残る路面に己の過ちを自覚する。過ちは速やかに修正するを恥じない性質である。尻尾を巻いてきっぱり引き返し、先ほどより混雑の増したいつもの道をよたよたと帰る。