『トイレット』を観る。『かもめ食堂』の荻上直子監督が全編カナダロケで撮った映画で、日本人の出演者はもたいまさこだけ、台詞も全て英語という作りながら、どこからどう見ても「邦画」という不思議な作品。題名の『トイレット』は同じようでありながら異なっている文化そのものの記号であり、ほとんど事件というものがない内容であるにもかかわらず解明すべき謎がいくつか存在するというあたりが意外によくできている。あくまで脱力系の展開には何だか笑うしかないし、『かもめ食堂』風の映画を撮ろうと思えばできところをせず、しかしスタイルは『やっぱり猫が好き』から変わっていないというのが立派。