今月号の『ハーバード・ビジネス・レビュー』は時節を反映して、危機への対応を中心とした特集が組まれている。もちろん内容自体は例によって過去記事の再掲によるもの多数なのだが、 911の後に書かれたDRP関連の話題が中心でアドレナリン分泌量が上がる。大部分がどのように危機を乗り越えたかという観点で語られる以上、そこには生存バイアスが自ずと内在しているのだが、戦記系の記事がそうであるように、論理の皮を被った精神論あるいは精神性と紙一重の論理性というのは嫌いじゃないのである。いずれにしても、この編集方針には義を感じる。
「再起力」というのが大きなテーマになっているのだけれど、結局のところそれは平時におけるアセットの蓄積であるというのが多くの論者の言うところであって、サプライチェーンが打撃を受けた今回、ものを言うのは日頃の外との付き合いであると痛感しているビジネスマン諸氏も多いのではないか。そしてそう感じることができるひとは平時においても有能であろう。