『メッセージ』を観る。臨死体験あるいは胡蝶の夢をテーマにしたファンタジーといった建て付けだが、結局のところファンタジックな要素は人の死期が見えるという異能だけで、有限の生を精一杯生きよというある種の回心の物語となっている。もとはフランスの小説だというから、ジョン=マルコヴィッチが登場するといってもハリウッド大作とはひと味違う。実を言って、どんでん返しを予想していたのだが、そういうものではないようだ。ジョン=マルコヴィッチの存在感によって本筋のテーマが後景化しているようにもみえるが、語り口は静かで映像は端正である。『LOST』でケイトを演じているエヴァンジェリン=リリーが主人公の別れた妻の役で出演している。