きみがくれた未来

Osaka『きみがくれた未来』を観る。ザック=エフロン主演のロマンスだが、普通のロマンスではなく、仕立ては幾分パラノーマルなものである。原題は『Charlie St. Cloud』で、欧米の物語ではタイトルがフルネームという場合、ほぼその回心をテーマにしているという経験則が示す通りの内容で、事故で自分だけが生き残り弟を喪った兄が、墓守をして暮らしながら、その生の意味を見つけるまで。ストーリーには、非常にわかりやすい象徴が組み込まれており、さまよえるオランダ人まで登場するあたりは結構、考えられたものなのだけれど、ザック=エフロン主演という流れのなかではそうしたディテールは読み取りの対象にはなっていないのではないかという疑いが拭えない。読んだことはないが原作となった小説はそれなりに読み応えがあるものなのではあるまいか。
本編の方はちょっとした仕掛けが組み込まれており、意外にも語り口そのものがミスリードを促す感じになっていて実は案外、面白かったのである。