東京原発

white『東京原発』を観る。2002年の日本映画。カリスマ都知事が財政立て直しの秘策と称して東京に原発を誘致すると言い始めた会議を舞台として、主には、都の幹部が原発誘致の理路を聞き、それに反論するうちに我が国の原子力政策の奇怪さとそれを許してきた国民の無関心に気づくという密室劇になっている。幕間にプルトニウムの陸上輸送をめぐるエピソードが入り、終盤には安っぽいドタバタとなるのだが、311以前であれば、このあたりをもって陳腐な邦画と評価していたであろう。福一の後ではいちいち洒落にならない告発のセリフを、警鐘として咀嚼することは出来なかっただろうことを、まずは反省しなければならない。
今や原発について門前の小僧となっている大方の人には自明である通り、今日反省されているようなことはあらかじめ提起されていた問題で、欺瞞があったとしても、我々の無関心はその共同共謀正犯であって、10年も前に、この映画はそのことをテーマとしている。