『白いリボン』を観る。2009年の作品であるにもかかわらず、全編に漂う古典の風格は、それがモノクロの画面だからというだけではない。たとえば『さらば、ベルリン』では洒落でしかなかった白黒の画面が、これほど説得力をもつのは、やはりミヒャエル=ハネケその人の力量であって、今どき144分にもなるモノクロ映画をとにかく飽きさせず、結局のところもやもやと嫌ぁぁな気分にさせてくれるのには感心する。さまざまな符号が、明示的には語られることのない穢れと悪意を浮き彫りに並べていく手際は優れて映画的であり、見応えがある。