アジャストメント

green『アジャストメント』を観る。マット=デイモンとエミリー=ブラントというビッグネームによるSFサスペンスであるわり、話題にもならなかった感じがあるのだけれど、フィリップ・K=ディックの原作をほとんど工夫なく使った感じのある脚本は残念な出来で、運命調整局というアイディアが生きているようにはみえず、全体として語り口を間違えているような気がしてならない。リアルSFの殻をかぶったファンタジーというのは、ジャンル鮮明であることを旨とするハリウッド的文脈からはそもそも難しい題材とはいえ、そもそもそのあたりを真面目に考えた形跡がないので、結局のところ違和感が拭えない。雰囲気としては『運命のボタン』に似ているが、あれは寓話としての機能があるから成立していると思うのである。