『戦火のナージャ』を観る。『太陽に灼かれて』のニキータ=ミハルコフによる監督・主演で、そもそも『太陽に灼かれて』のかなり無理な続編であるうえ、三部作の第二部であって、完結していない。単体で観る向きには訳が分からないであろうし、本編のほうも一筋縄ではいかない。150分の長尺だがコトフ、ナージャ、ドミトリという主要登場人物それぞれの視点からなる各エピソードは、テレビシリーズの各話であるかのように唐突かつ脈絡のないつながりなので、それがまた大河風の広がりを醸し出しているという感じも若干はあるにして、通しではかなり苦しい感じ。とはいえ、それぞれの話はソビエト的な無常と不条理をまとっているので、何だか見入ってしまう。前作で天使のような子役だったナージャは、引き続き監督の実の娘が演じていて、つまり回想シーンの子役と20歳を過ぎた娘が実際に同一人物であるというめずらしい例なのだが、そんな効果はちっとも窺えない変貌ぶりであって、女優が既にロシア的な貫禄を身につけつつあるというあたりも諸行無常。