『ビー・デビル』を観る。ジャンルで言えば猟奇の入った韓国映画だが、いくぶんはっきりとしたテーマのようなものがあって、共同体における抑圧と傍観が大量殺人につながるという筋書きになっている。日本で言うと津山三十人殺しみたいな話だが、半島のことなので抑圧と暴力におかれるのは女性であり、共同体はその上に重くのしかかっているので、観ているうち気分が滅入ってくる。鎌を振りかざす復讐鬼よりも、どちらかというとこうした日常生活のほうが怖い。何が怖いといって、もしかしたらこういう限界村落が実際にあるかも知れないという気がするあたりがとても怖い。主演はソ=ヨンヒで、『チェイサー』に続きあまりにも不憫な役柄を演じていて何だか気の毒なくらい。