『キッズ・オールライト』を観る。レズビアンのカップルと人工授精で誕生した子供たちの四人家族に精子提供者の男が関わって、という設定にはどことなくコメディの雰囲気があるけれど、笑えるところはあるにして、実はしっかりとしたドラマで見応えがある。2011年末も押し迫って久々のアタリという感じ。
アネット=ベニングとジュリアン=ムーアがMomsを演じているのだけれど、甲乙つけがたい演技で違和感のない家庭を現出させている。クライマックスのアネット=ベニングの演技には張り詰めた迫力があって、思わず背筋が伸びる。年頃の子供たちとマーク=ラファロもそれぞれ造形がうまくてキャラが立っている。
マーク=ラファロは有機食材のレストランのオーナーで、娘は有名大学に進学予定とか、どこかで見たようなセレブ設定を楽しむというのもありだが、エピソードがキャラクタの説明に貢献しつつ伏線としても機能して、きっちり回収される脚本の出来はいい。監督のリサ=チョロデンコは『Lの世界』の監督を務めていて、素材自体も得意分野なのだろうが、演出もきめ細かなもので、なかなかの仕事をしている。