『ヤコブへの手紙』を観る。『レア・エクスポーツ』に引き続きこれもフィンランド製の映画で、これまであまり関心を持ってこなかったが、かの国の映画文化が高いレベルで培われていることを知る。なかなかのものなのである。
登場人物は、恩赦により釈放された女と盲目の牧師、郵便配達夫のほぼ三人きりという話で、時間も75分と短めであるものの、信仰と回心と和解、それに死というあたりが避けようもなく絡みあった物語をきちんとした佇まいで編んだ印象は悪くない。役者は高いレベルで仕事をしており、つまり主人公のレイラは終身刑という設定が不自然に見えない押し出しで、牧師の朽ちた感じとあわせて非常に説得力がある。