『奇面館の殺人』 を読む。『暗黒館』は読むのもしんどいという感じの分量だったけれど、本作は作者も言っているとおり比較的にライトな建付けだし、相変わらずの作風なので実にさらりとしている。かつて新本格が隆盛を極めていたころは、こういうノベルズが山ほど出版されていて、律儀に追いかけていたものだけれど、なるほど「時代は振り子のように揺れる」。この風合いは今ではかなり貴重なものだが、こちらの嗜好も長い月日にだいぶ変わっているので、かつてのようなわくわくした感じも最早なくて、なんだかとっても年をとったような気がする。