『スーパー!』を観る。『キック・アス』や『ディフェンドー』の流れに連なるヒーロー願望もの。このところ、この手の映画が多いとも思うのだが、ヒーロー願望自体はロールモデルを演じることを強く求められるアメリカの病理そのものであり、その点においてはセレブになりたくて田舎から出てくるという類型と似たような構造があるような気がする。もちろん、セレブものを病と捉える向きは少数であるとして、この映画では『ROCKER』のレイン=ウィルソンが、妻に捨てられた失意の中で天啓により正義に目覚め「結果として」妻の救出に向かう凄惨なヒーロー活動の顛末を、にこりともせず演じていて、ちょっと異様な迫力がある。それ以上に鬼気迫るのが主人公に乗じて相棒を買って出るエレン=ペイジの役柄で、こっちは便乗犯の風情でさらに凶悪であり、病理のもう一つの側面を象徴して何だか怖い。