『狼の死刑宣告』を観る。ちょっと間の抜けたタイトルであるという気がしないでもないけれど、自警映画の流れを汲む本作は、いうまでもなく『狼よさらば』の強い影響下にあるので、適切といえば適切なのである。原題は『Death Sentence』で、こちらも『Death Wish』をうけたタイトルとなっている。
内容は典型的なヴィジランテもので、家族を殺された父親が街のチンピラに復讐をするという話なのだが、暴力が暴力を生むというあたりが意識的に描かれていて、単なる復讐話になっていないあたりがちょっと深い。監督は『SAW』のジェームズ=ワン。
ケヴィン=ベーコンが演じる主人は体育会系ではあっても特にマッチョというわけではなく、もちろん元特殊部隊ということでもなく、スキルセットとしてはホワイトカラーであり、必然的に満身創痍となっていくのだけれど、ケヴィン独特の頑なな感じがこの一方通行ぶりに説得力を与えている。
見どころは主人公が駐車場に追い込まれるシーンで、縦横に移動するカメラは長尺のワンカットで撮影されていてうまい。仇役の父親としてジョン=グッドマンが登場して強烈な印象を残す。