『カンパニー・メン』を観る。リーマンショックの煽りで業績不振に陥ったコングロマリットが次々と解雇を始め、あっさり職を失うことになった男たちが挫折の中で自分を見つめ直すという、なんというか辛気臭い話ではある。主演のベン=アフレックは見栄っ張りで傲慢な男を演じて、嫌になるくらいリアリティがある。トミー=リー・ジョーンズにクリス=クーパー、マリア=ベロまで出演して、意外な豪華キャストなのだが、何と言っても主人公のよく出来た妻を演じたローズマリー=デヴィットの功績が大きく、話自体に淡い希望のようなものを添えている。義理の兄の役でケヴィン=コスナーが、それに輪をかけて美味しいところを攫っていき、読後感は意外にも悪くない。
主人公は年収12万ドル程度のホワイトカラーという設定なのだが、その生活は驚くべき幅に広がっており、こちらから見ればそもそも分不相応という感じなのだが、これがアメリカの現実であるとすればもとより持続不可能なのであって、アメリカの消費の七割を占めるという家計が回復する日は相当に遠いであろう。