寒冷地の車のメインテナンスで気をつけなければいけないのは、バッテリーと腐食であると一般に言われていて、特に路面に凍結防止の塩化カルシウムを撒くことが多いものだから、車体底面のサビと腐食が進むことも多い。防止のためのコート材があってりして、大抵はそういうものを使っているわけだけど。
お気に入りのラパンの走行距離も多くなって、しかしこれまで故障というほどの故障もなく、一方でさすがに10年を目前にすれば不具合が出てもおかしくないというのが経験則であって、そういえば点検のときにもそろそろ交換を考えなければいけないかもしれないという話が出ていたから不思議はないのだけれど事態は唐突に到来する。横浜からの帰路、中央道笹子トンネルを目前に、いわゆるマフラーが落ちるという状況となって、つまり物理的な落しものこそないもの、消音器に至る排気管の円筒構造が溶接部で外れ、消音器というのはつまり音を消すためのものだけれど、それが機能しなくなる。結果として生じる爆音ときたらびっくりするくらいスゴい。排気音というのはエンジンの回転に応じて比例的に大きくなるものであって、たとえば高速道路を走行中だと途方もない音圧になるわけである。
暴走族といわれる集団が、不法改造によって爆音を出すようにした車で、公道を蛇行したりしながら意外な低速運転なのは、つまりそんな状態でエンジンの回転を上げるのは無理、という事情もあるのだな、ということがわかる。実感として。
最寄りのインターチェンジで高速道路を降りて、ちょっとかわいい感じのラパンが月明かりに照らされながら田舎道を走る。その爆音には、そろそろ活動を始めたあらゆる生物が驚いたに違いないよ。