『幸せの行方』を観る。『ラブ・アゲイン』とか『ドライブ』とか比較的、男前な設定で露出が増えているライアン=ゴズリングだが、その神経質な顔立ちはちょっとサイコがかった役柄こそ似合っていて、実在の未解決事件を題材にした本作では、ややこしい鬱屈を抱え、妻を殺したのではないかと疑われる男を演じて説得力がある。不動産王で抑圧的な父親のフランク=ランジェラも、異世界からやってきたような酷薄さを漂わせているし、総じてキャスティングは見事なのだが、妻を演じたキルステン=ダンストこそ、この頃、顕著になってきている幸薄いイメージを一層、強化する役回りであり、理由はよくわからないけれど彼女に思い入れがある身としては気の毒な気持ちが先立って何だか辛い。未解決の事件を扱っているからには、どうしたってもやもやとした話になるというものだし、これといった工夫があるわけでもないので結局のところ、どんよりとした気分になって終わる。