マイウェイ 12,000キロの真実

winter『マイウェイ 12,000キロの真実』を観る。日本軍占領下の朝鮮に始まり、ノモンハン事件とレニングラード攻防らしき戦闘を経て、最後はノルマンディー上陸戦を戦う戦争ドラマなどというものが、まず、どうやって成立するのかという興味だけでも観られてしまう。『プライベート・ライアン』ばりのドンパチに俯瞰のスケール感を取り入れた戦闘シーンは『ブラザーフッド』のカン=ジェギュだけあってなかなか大したものだが、「俺たち、遠くまで来てしまったな」という台詞が何となく失笑をもたらす程度の荒唐無稽さはあって、それというのもそれぞれの歴史的イベントを唐突に「3年後」という感じに繋ぐ、いや繋がざるを得ない設定そのものの無理はやはりあるので、述懐にはやはり説得力が伴わない。とはいえ、瑕疵がいろいろあったとしても、内容に勢いがあることは確かであり、『プライベート・ライアン』や『レニングラード』で観たような画面であるという点を割り引いても、絵柄そのものには力があって、そのことはやはり評価しなければならないと思うのである。
オダギリジョーはちょっと劇画調が過ぎるが、山本太郎が暴虐な古参兵を演じて存在感をみせていたり、日本サイドの出演者も大物揃いなのだけれど、題材の微妙さが呼び起こす感情というのは恐らく千差万別であって、たとえば『硫黄島からの手紙』ほどに練れた配慮があるわけでもないので、受け付けない向きには評判が悪いに違いない。