『宇宙人ポール』を観る。主人公の二人が『ホットファズ』のサイモン=ペッグとニック=フロストというだけで何だか愉快になってしまうけれど、役者もさることながらグレイ型宇宙人ポールのCGは不気味の谷を軽く跨いで違和感のないもので、この十数年の映像技術の進歩にやはり感心する。ミスター・グレイといえば無表情の不気味さがアイデンティティであったはずだが、このキャラの立ち方は悪擦れした性格設定によるものだけではない。主演の二人は、コミコンを振り出しにUFO名所を巡る旅に出るオタクという設定だが、警官を演じていた頃より体格はさらに暑苦しくなってちょっとした歳月の流れを知る。
物語は宇宙人との道行きを描いたロードムービーだが、実のところうまく少女と出会うことができなかった『E.T.』の話であって、そのやり直しなのだから往時、あの映画の観客だった子供たちに向けた30年後のリバイバル上映なのである。