『素敵な人生の終り方』を観る。アダム=サンドラーが名を成したコメディアン、セス=ローゲンが前座でアシスタントという配役だけど、白血病を患った主人公の人生彷徨という感じに始まるストーリーなので、『50/50』とか『私だけのハッピーエンディング』みたいな展開かと思っていたら、後半にかけてびっくりするくらいの転調があって、ドラマは急速にジャンル映画に変容していく。これを140分も使ってやる必要があるのかというあたりは実のところかなり疑問。ついでにいうと、邦題はかなりミスリードであるといわざるを得ない。典型的なアダム=サンドラー的クオリティで、豪華俳優陣がそこかしこに顔を出しており、エミネムまでカメオ出演というあたりがベン=スティラーの業界的な位置づけと被った感じでいろいろと似ている。
そうはいっても特に前半、売れないスタンドアップ・コメディアンの物悲しい感じはそれなりに雰囲気があって、芸はあくまで下品でどうしようもなくつまらないという一連の流れは悪くない。リアリティを損なっているとすれば、その芸が本当に面白くないというところで、いくらなんでも酷すぎると思うわけである。