スーパー・チューズデー

road『スーパー・チューズデー』を観る。邦題から醸し出されるように大統領選を題材としており、候補となっている知事の選挙参謀として、今まさに選挙戦を戦っている男が、現実のドロドロのなかで理想を見失い、復讐心から陰謀のようなことに手を染めるという話。タイトルでいうなら『The Ides of March』という原題のほうが一段、深みがあって、予備選挙のヤマ場のイメージとBeware the Ides of Marchというシェイクスピアのセリフを重ねている。
そうはいっても、ジュリアス・シーザーを引き合いとすれば高尚過ぎる筋書きではあって、せいぜいがクリントンとオバマの選挙を足して二で割った内容で、実際の選挙戦の段取りをよく咀嚼しており、制作の関心は現実の映しから外れることがない。その監督はジョージ=クルーニーで、脚本にも名を連ねており、知事の役で本人も出演している。この脚本は演劇的に細かく考えられたもので、なかなかよく出来ているのである。
で、主演はといえば、またしてもライアン=ゴズリングで、フィリップ=シーモア・ホフマンやらポール=ジアマッティといった本格派の実力者との競演だが負けていない。