キラー・エリート

ice『キラー・エリート』を観る。ジェイソン=ステイサムが主人公のアクションで、クライヴ=オーウェンが敵役。ロバート=デ・ニーロが年甲斐もない感じで銃撃戦をこなしていたりして、それなりの豪華キャストである。製作費も奢っているはずだが、概ね舞台となる1980年を再現するための車両に費やされているとみえて存外、地味な感じ。一方、このあたりの年代を現出させようという演出的な努力はほぼ報われておらず、時代の雰囲気はほとんど漂っていない。
足を洗ったばかりの傭兵が、渡世の義理で現場に戻り、よくわからないミッションをこなすのだが、これまたよくわからない陰謀にも巻き込まれるという、動機や人物の関係性がよく整理されないまま順を追う感じでストーリーが展開する建て付けとなっており、その内容にはイマイチ感心できない。この117分が長いのは脚本の不手際によるところが大きいのではないか。こうした込み入った状況にもかかわらず、ジェイソン=ステイサムには事情をよく承知していない幼なじみの恋人がいて、何だかいつもの通りというあたりもまた、如何なものかと思うのである。