『ブーリン家の姉妹』を観る。あまりにも有名なアン=ブーリンと、その陰で同じくヘンリー8世の寵愛を受けた妹のエミリーを描いて、もちろんカトリック教会からの離脱を題材にはしているのだけれど、焦点はあくまでナタリー=ポートマンとスカーレット=ヨハンソンという、この姉妹を演じた二人の女優にあり、たとえばクロムウェル卿でさえ名前が出てくる程度なので歴史成分は稀薄。そうであればこそ、人間関係のドロドロは先鋭化して、ことにエリック=バナのヘンリー8世は何かしらの欠落を感じさせる印象で、実はこの特異なキャラクターこそ全ての問題の元凶であればこそ説得力を生んでいて、全体にドラマはよく出来ている。