『国家の密謀』を観る。フランスの国家謀略ものであるにもかかわらず、難解なところがない映画。移民出身の女性刑事が政府の裏工作のどさくさで起きた殺人事件を追う、という話のはずなのだけれど、視点は陰謀を張り巡らす側に偏っていて結果、ヒロインというよりは情報局崩れの工作員の不運な顛末が主として描かれ、どこかバランスの悪いことになっている。難解でないのは、つまり、ことをあらかた説明してしまっているからで、謀略ものとしては風情がなく粗暴犯の仕事に近い。アフリカ上空で貨物機が撃墜されるところに始まり多少、思わせぶりな冒頭からすると、このスケール感はちょっと残念。