『PARKER/パーカー』を観る。『悪党パーカー』の何度目かの映画化で、パーカーを演じているのがジェイソン=ステイサム。キャラクターには合いそうだという気がしたのだけれど、パーカーをジェイソン=ステイサムが演じても、通常のジェイソン=ステイサムと選ぶところがまるでないので、面白味には欠ける。ふとしたことからよく知らない面子で悪事を働くのだが、慣例によって裏切られ、ルールに従って復讐を果たすといういつもの話。
即物的で人生に挫けかけている浮薄な女の役でジェニファー=ロペスが出演しており、こちらも役柄にはぴったりなのだけれど、ストーリー上はほぼ何の貢献もない意味不明の役回りで、不要という点を加えて二重に痛い存在であり、どうやらキャリアの曲がり角という印象があって今後が懸念される。
原作の『地獄の分け前』には妙に忠実な内容ではあるもの、脚本の手際はよいとはいえず、多くの観客にとっては何だかよく分からない展開ということになるのではあるまいか。パーカーの映像化では、メル=ギブソンがパーカーならぬポーターを演じていた『ペイバック』があったけれど、下手をすると『リーサル・ウェポン』のリッグス刑事という印象は残しつつ、しかし微妙にペイパーバック風味があったあちらに軍配は上がると思う。