この日はかなり冷え込んで、朝方の気温が5度を下回る。もう少しすると車のフロントガラスの凍結も気にしなければいけなくなるのだが、とりあえず室内の冷え込みと金属製のシフトスティックの冷たさが堪える。始業前のコーヒーはアイスを飲んでいたのだけれど、とうとうホットに切り替え、しばらくはこの習慣が続くことになるだろう。

紫金山・アトラス彗星

この日、夕暮れ過ぎに南西の空に金星を見つけ、iPhoneをかざして紫金山・アトラス彗星の撮影を試みる。はるかオールトの雲から飛来したこの彗星は明るくなったとはいえ、もとから視力に自信のない当方が肉眼で確認するのは難しいと考えていたのだけれど、iPhoneのカメラのナイトモードは超優秀で、画面に十分確認できる彗星の尾を映し出す。あまり期待していなかっただけに、おおっと声が出たものである。この彗星の公転周期はおよそ8万年といわれ、これも一期一会というべきであろう。

ソースカツ丼

この日は伊那まで出かけて芸術鑑賞。伊那食品工業は業績の余裕を文化方向で社会に還元しようという優良企業で、本社周辺には文化の香りが立ち込めているかのようである。伊那といえばローメンかソースカツ丼かというわけで、地元の名店で昼食を食べ、高遠の歴史博物館に立ち寄って、絵島囲み屋敷を見学したりする。高遠城址公園は桜の季節でなければ閑散としているけれど、それはそれでいいものである。

陰謀論

Audibleではあまり関心のないものも聴くようにしているのだけれど、現代史はジャンルとして要注意という印象で、真顔の保守論客かと思えばディープステートや議会襲撃事件にかかわる陰謀論が地続きの文章で登場してびっくりする。広汎といっていい知識をもち、歴史的展開についての抽象的な理解も高度なレベルでされているようなのに、その流れにむき出しの陰謀論が組み込まれるのは何故なのか。この飛躍が狂人のそれにみえるのも、それをもたらすのが同じ脳の働きによるものだと思えば不思議はないのだが。

この日は急に冷え込み、朝方の気温が10度を下回る。夏の名残のあと、これで山も急に色づいて冬は足速に訪れるであろう。どうやら夏か冬かという気候になりつつあるというのは、まったくその通り。

フロリダのハリケーンはカテゴリー3まで勢力を落として上陸し、300万戸にのぼる大停電を引き起こす。想定されたよりもずっと小さな被害にとどまった様子ではあるけれど、これによって引き起こされた竜巻は27もあって、全体にどうなっているのかは、まだわからない時間軸にある。

ライブカメラではSouthernmost Point Barの映像がずっと流れていたのだけれど、ハリケーンが近づいてくる日中、荒い波の打ち寄せるこのモニュメントには結構な人だかりができていて、国民性の違いを感じたものである。その状態でも数百回に一回は高波が来るだろうから、誰が攫われてもおかしくないのだが。

ミルトン

フロリダにカテゴリー5のハリケーンが再び近づいているという。そもそも、陸地に近づいて急発達するハリケーンが増えているということなのである。降水量の増加で河川から大量の淡水が海に流れ込み、塩分が濃く密度が高い海水の層に、比較的に塩分が薄く密度が低い水の層を作ることで海水温は高くとどまり、熱帯低気圧は沿岸でも発達を続ける。巨大ハリケーンの上陸は気候変動の直接的な結果ということになる。

フロリダ湾の高潮も場合によって、この被害を拡大するだろう。選挙戦を巻き返そうとしているトランプは、政府の対応についても虚言を繰り返しており、あらかじめ予想されたことだが、こちらの地獄はすでに現出しているのである。

2008-2024

我が家のチワワ4兄弟では末っ子の扱いで、2008年の11月に食を拒否する超小型の毛玉としてやってきて、長じて番長となり、長く共に生活した。順位と礼儀に厳しく、抱き上げた時に唇を噛まれた傷はずっと残っていたのだけれど、もうよくわからなくなってしまった。当初こちらの順位をだいぶ低く見積もっていたと思うけれど、近年は友達として遇してくれていたと思う。人間の子供達も巣立つなかで、全ての兄弟を見送り、本当はだいぶ寂しかったと思うけれど、そうしたところはあまり見せないあんずは勇敢な犬である。大病もしたけれど、その生命力に驚かされたのも、ひとたびではない。

16年生きた。明け方にかけて息はゆっくりと浅くなり、だいぶ草臥れてはいたけれど、安らかに眠ったと思う。このあと秋も深まり、厳しい冬が来て、季節を幾度も繰り返し、長くゆるやかな下りの船の行きつく先では、ふたたび会うことができるだろう。ありがとう、またいつか。