不適切にもほどがある!

『忍びの家』はシーズン1の最終話まで観て、まぁ、そうなりますよねというヒキでシーズン2という流れ。しかし、このドラマ自体はよく出来ているので、次シーズンがあれば必ず観るだろう。願わくば、あまり間をおかないことを。

宮藤官九郎と阿部サダヲの今クールのドラマが評判になっているらしいけれど以前、初回の10分程度を観て、後回しにしていたのである。この時間軸の設定は笑って流すには身に沁みすぎるというもので、考えてみれば宮藤官九郎とはほとんど同世代なのである。もちろん、この作家の脚本は、導入を乗り越えれば期待通りに面白いというのが通例なので、楽しみにはしていたのだけれど。今回は思いのほか高いハードルではあったけれど、山本耕史が出てきたあたりから俄然、調子が上がってきた感じ。

忍びの家

『忍びの家』を観る。予告編からして期待の高まる出来ではあったけれど、なるほどさすがNetflixという感じで楽しめる。まず金がかかっているのだけれど、監督と脚本がなぜか日本にかかわる映画ばかりを撮っているデイヴ=ボイルで、キャスティングセンスは上質な国内映画のそれという組み合わせが、全体の特別感を醸して飽きない。画面のセンスと音楽の使い方が素晴らしくいいし、賀来賢人も吉岡里帆も好きである。山田孝之の相変わらずな感じもいい。アクションがまた、悪くないのである。面白い。

舟を編む

『舟を編む』を観る。映画、アニメと映像化されてきた小説の改めてのドラマ化というのは、どんな感じかと思ったけれど、NHKらしい丁寧な映像と、凝った演出で、これはなかなかいい感じ。主人公を池田エライザとした視点の変更で、新たな位相を得た様子。脚本の蛭田直美が膨らませた物語は、かなり上等な創作になっている。野田洋次郎の馬締光也も、香具矢が三村里江というのも、絶妙なキャスティングではないか。早くも続きが楽しみになっている。

この日、火山噴火予知連は阿蘇と北海道の駒ヶ岳で火山活動の高まりがみられるという評価結果をまとめる。もちろん、それが大きな噴火につながるということがいえるものではないけれど、各地の地震がどうも不穏を感じさせる春。

ヴァチカンのエクソシスト

『ヴァチカンのエクソシスト』を観る。実在のエクソシストとその回顧録を題材にしているというわりにはファンタジー方向に話はすすみ、実録というにはだいぶ無理がある。似たような趣向ではアンソニー=ホプキンスの『ザ・ライト』があって、実をいうとあちらの方が好み。とはいえ、ラッセル=クロウの仕事ぶりは堂々としたもので、ひとりで話をひっぱっているようなところがあって、これは悪くない。他の登場人物の影か薄いということでもあるのだけれど、100分そこそこの尺なので、のんびり観る分にはちょうどいい感じ。

この日、日中の気温は10度を上回って春の陽気。週明けからは、しばらく雨が続くという予報で、2月の様子ではないのである。

ハピネス

『ハピネス』を観る。コロナを経験した後の韓国、摂取すると人間がゾンビ化する薬剤が流通し、格闘の果て感染を疑われた警官は隔離されてしまう。パンデミックと感染症対策の雰囲気がうまく使われていて、さすがスタジオドラゴンというクオリティだし、ゾンビ映画の作法を弁えた演出もうまい。2021年の段階でこういう話が出てくるスピード感とバイタリティは大したものである。しかし、年嵩の役者に高校生を演じさせるシーンを入れなければいけないという決まりでもあるのだろうか。

さようならマエストロ

『さようならマエストロ』を観る。第1話からはじめて、まだオンエアには追いついていないのだけれど、市民楽団を題材にした王道のストーリー展開に、親子の葛藤を絡めた話はそれ自体、面白くて楽しめる。脚本は大島里美。西島秀俊はこういう役柄が実によく似合うし、芦田愛菜もいい。第3話のエピソードの作りと序盤の盛り上げ方に感心している。しかし、このタイトルが示唆する先行きとは。

ラン・ハイド・ファイト

『ラン・ハイド・ファイト』を観る。母親を癌で亡くした娘と父の葛藤に始まり、日常を侵食する不穏な動きからスクールシューティングに至る序盤はさほどお金がかかっていないことが明らかだとしても、そんなに悪くないのだけれど、アクションが入った途端、なんだか演出上の不手際が目について、何だこれという感じになる。車がドアを破って突入してくる前に、あらかじめ防御姿勢をとっていたりするので理解が追いつかない。立派なB級映画なのである。ストーリーもほぼ予想から外れることなく展開して感心するところも特にないのだけれど、雰囲気は悪くない。