光る君へ

今年の大河ドラマ『光る君へ』の第1回を観る。主人公の幼少期に始まるオーソドックスな初回ではあるけれど、何しろ史実の定まらない10世紀の話であるからには、脚本家の想像力で起伏のあるドラマが編まれていて楽しい。CGに最適化された現実的な演出計画は妙に小綺麗だとして、平安絵巻であるからにはいっそよく出来ていると思うのである。楽しみ。

北陸電力は発電所構内のモニタリングポストの数値が降雨の影響で若干高くなっているという説明のポストをした直後に、発電所に設置しているモニタリングポストの数値に変化はないというプレスリリースを発表する。早めに発電所構内の様子を開示するというのが筋ではなかろうか。

2023年に観た映画のこと

今年はあまり映画を観ていなかったような気がするのだけれど、振り返ってみるとそれなりの収穫はあって、『ヘルドックス』は終始、興奮してそのかっこよさを讃え、見逃していた原田眞人監督の映画作品を追いかけたものである。ただし、同じ岡田准一主演の『最後まで行く』をまだ観ていないツメの甘さには2023年という年を象徴するようなところがある。

韓国ドラマでは『生まれ変わってもよろしく』が筆頭で、『梨泰院クラス』で徹底的に悪役だったアン=ボヒョンのイメージを塗り変えたし、何よりシン=ヘソンの演技プランの奥行きに感心してすっかりファンになったものである。いかにもWebマンガが原作という雰囲気の話ではあるけれど、ストーリーそのものも結構、面白かったのである。

台湾の映画も幾つか観て、特に『1秒先の彼女』は非常に楽しんだ。宮藤官九郎の脚本で男女を入れ替えたリメイクの『1秒先の彼』も観たけれど、これはオリジナルのバイタリティの方が合っていたような気がする。

邦画では『水は海に向かって流れる』が印象に残った。原作の漫画とはエンディングの処理が大きく異なり、広瀬すずの存在感をうまく引き出した映画らしい演出になっていた。その後の行方が気になる向きは原作を確認せざるを得ないという趣向だが、これは原作も面白いので是非、読むべきだと思う。

そして『ゴジラ -1.0』も予想以上によく出来ていて、モノクロバージョンの『ゴジラ -1.0/C』もどこかで観てみたいと思っている。そもそも「マイナスワン」というのがよくわからないと思っていたのだけれど、「マイナスワン、マイナスカラー」というところまで来れば、そういうものかという気にもなってくる。

ゴジラの世界展開は続いており、モンスターユニバースでは『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』の最新話を毎週、楽しみにしていて、こちらは年を跨いで、おそらくはあと2話程度でシーズン1完結となる。例の地下世界が顔を覗かせてきているので、世界観の奥行きをキープできるかが今後の面白さを左右することになるであろう。

『窓際のスパイ』は第3シーズンにかけて尻上がりに面白くなってきている感じで、原作もいまだに最新作が最高傑作と言われているようだから、なかなか幸せな作品なのである。ドラマのほうも今期が一番の出来とみえ、今から第4シーズンが楽しみ。

日本のドラマでは上田誠の『時をかけるな、恋人たち』とバカリズムの『ブラッシュアップライフ』を挙げておく。とはいえ、脚本の妙だけでなく、いずれも役者の仕事のレベルは高く、特に安藤サクラのナレーションには中毒性すらあると思ったものである。

というわけで、今年もあと1日。あまりにドタバタしているので、振り返り企画もどうしようかと思ったのだけれど、継続は力なり。そして来年も多くの作品に感心することになると思う。

放たれた虎

『窓際のスパイ』第3シーズンの最終話を観る。年末近くになると始まって、長居するわけでもなくきっちりと濃密な物語を編み、年を跨ぐことなく次シーズンの予告とともに去るというスタイルがもう3年も続いているわけである。本格的なトレイラーがあるということは、プロダクションはだいぶ進んでいるということだろうけど、1年後を待てということであろう。待ち遠しい。

いつもより火薬の量が多い気がする今シーズンの山場、命の遣り取りはどこか泥臭さがあって、しかしそれがいい。スラウハウスの面々が言葉通りの悪戦苦闘の果て、それぞれの結末に向かうフォーマットは完成度高く作り込まれている。

3作目までというのが現時点でのSlough House シリーズの翻訳の状況だけれど、早川書房には頑張ってもらわないと、第4作は映像作品を先に観るということになる。

京城クリーチャー

Netflixで配信の始まった『京城クリーチャー』を観る。ハン=ソヒが安重根の写真をInstagramに投稿して、何だか騒ぎになっているということだけれど、日本の占領統治下の朝鮮半島の状況を扱うのであれば、もちろん日本軍の圧政とその残虐性が描かれないわけはないのである。素材と時代設定はそれなりによく考えられたもので、この暗い雰囲気は悪くない。そしてネトウヨは当然、彙集してくるであろう。企画段階で分かっていた話だ。

自民党の政治資金問題で議員の事務所にも家宅捜索が入る。この展開は久しくなかったもので、もちろんこの国の正常化に向けては必ず通らなければならない道であろう。

砂の上にも花は咲く

Netflixで配信の始まった『砂の上にも花は咲く』を観る。朝鮮相撲ともいわれるシルムを題材にしたドラマで、行き止まり感を漂わせるマイナースポーツものの哀愁と同時に、どことなくサスペンスの風味も感じる第1話。映像は美しく落ち着いたカラーグレーディングで、ドラマの質も高い。第2話ではその謎がさらに深まって、なんとなく物語の方向が見えてくる展開で、これがなかなか面白い。この役のために増量したというチャン=ドンユンがいい。ちょっと楽しみな感じ。

ファミリー・プラン

『ファミリー・プラン』を観る。平凡な一家のよき父であるマーク=ウォールバーグが実はかつて政府の腕利の殺し屋だったというジャンル映画で、子供が3人で赤ん坊もいるというあたりが新機軸だとして、まぁ、ほとんど予想通りに話はすすむ。マーク=ウォールバーグのキャラクターは完全にいつも通り。メインキャストの高齢化は否めないけれど、大陸横断のロードムービーでもあって飽きない。忘れた頃にマギー=Qが登場するのがいいけれど、まぁ、そうなるわな。

ブラッシュアップライフ

『ブラッシュアップライフ』を観る。時間ものの派生形態としての人生n周ものというアイディアが面白いし、何かとよくできていて、ついつい見てしまう。安藤サクラにあて書きされたであろうバカリズムの脚本の出来は秀逸というほかないし、その安藤サクラも楽しそうに演じている。何度生まれ変わっても、さほどチートになっていないのがいいし、それを納得させる安藤サクラの説得力よ。早くも終盤の展開に感心するくらい進捗している。