推しが上司になりまして

新しく配信の始まった『推しが上司になりまして』の第1話を観る。脚本は『ウソ婚』と同じ蛭田直美。いわゆる深夜帯にマンガ原作のドラマが放送される流れがあって、これもそのひとつだけれど、タイトルが設定を説明する昨今の流行の通り、タイトルの通りの設定で速やかに物語は立ち上がる。

他愛もない話ではあるけれど、いわゆる推し活がある種の儀礼であるという構造が端的に示され、その枠組みを超えて虚構が現実化することで葛藤が生まれるというあたり、シンプルではあるけれどちょっと奥深いストラクチャーを持っていると思うのである。もしかしたら、その侵食のプロセスがいちばんおいしいところである可能性はあるとして。

すずめの戸締り

『すずめの戸締り』を観る。ちょっとした予告映像のほかは全く情報を仕入れていなかったので、いまさらであってもかなり新鮮に楽しむことができたのである。かなり正統派のロードムービーで、そういうのは基本的に好きである。話の方もかなりシンプルで、象徴は作法に従って分かりやすく扱われ、例によって背景は実存を前提としてあくまで美しく、現実と記憶がやにわに顔を出して奥深いところに打撃を加えるあたりには、いわゆる作家性が垣間見えて興味深い。緊急地震速報というものが2010年代以降、凶兆の新しい表現になったということには、なかなか深い意味があると思ったことである。

うぬぼれ刑事

このところDisney+の稼働率が下がっているのだけれど、宮藤官九郎と長瀬智也の『うぬぼれ刑事』の配信が来ていたので見始めてしまう。第1話は演出も宮藤官九郎ということだけれど、これがいつもの感じで面白い。西田敏行まで出てくるのだけれど、どうしてこれまで見ていなかったのだろうと考えている。

それはともかく、このところ新規配信の入荷が低迷しているDisney+はちょっと古めのドラマを買い集めてお茶を濁している感じ。

この日、深夜にかけて激しい雷雨。この雨の後はようやく秋が来るらしいのだけれど、どうだろう。

水は海に向かって流れる

『水は海に向かって流れる』を観る。田島列島の漫画の実写化で、広瀬すずが榊千紗を演じている。まず、この千紗は全然悪くないと思うということを言っておかなければいけないけれど、広瀬すずがあまりにも華やかであるがゆえ、口数が少ないとどこか剣呑な感じが漂うので、内に溜め込んだ怒りは周囲に放射して見えるようなところがある。原作の筆致はもう少し茫漠としたところがあったと思うのである。

物語はかなり忠実に原作をなぞり、リスペクトを感じる。脚本は大島里美。123分の尺なので、前半は設定が渋滞気味に感じるくらい密度が濃いけれど、直達を演じる大西利空もなかなか感じがいいので、ずいぶん楽しんだのである。いや、悪くない。

この動画は再生できません

Amazonプライムで配信の始まった『この動画は再生できません』のシーズン2第1話を観る。キレイにオチをつけたあのミニシリーズの、まさかシーズン2があろうとは。前作とほぼ同じ趣向で続く話となっていて、やや強引ではあるけれど変わらず面白い。どうやら、シーズンを通じて前回の最大の謎についての答えが出されるということみたい。なるほど。

なんだか急に現れて、この日にも静岡付近に上陸するのではないかと言われていた台風13号は、その前に熱帯低気圧となったけれど、夜にかけて千葉、茨城、福島の広範囲にわたって猛烈な雨を降らせる。一帯を水没させるほどの雨が短時間で降るようになったというのも、気候の大きな変化が引き起こしているということなのであろう。

GAMERA -Rebirth-

『GAMERA -Rebirth-』のエピソード1を見る。このガメラのスタイリングは平成ガメラをほぼ踏襲していて、もちろん期待は高まる。ギャオスから始まる物語であるのも、何かとわかっている感じだけれど、CGアニメ特有のキャラクターになれるのは少し時間がかかる。この不気味の谷の作用には興味深いところがあって、慣れるとさほど不自然にみえない。そしてアニメなりに作り込まれた画面もあって、それなりに楽しめる。

世界観も悪くないのだけれど、まず米軍が東京上空での空中戦を始めて、自衛隊が後景にあるらしい事情は、この時点ではよくわからない。渋谷大炎上に比すべき場面がエピソード1のクライマックスなのだけれど、どうやらモブを描くのは苦手らしく、背景はほぼ無人というのがやや残念なところ。逃げ惑う群衆が欠落しているのは、怪獣映画としてのこの物語を方向づけることになるのではなかろうか。

亡霊を追う

『インベージョン』シーズン2の第2話を観る。配信はもう3話目となっているのだけれど、Apple TV+は何かと影が薄くて油断していると消化が追いつかない。『ファウンデーション』のS2に手をつけていない状況も変わらず。それぞれが鬱屈を抱えたまま再開した本作の昏さは悪くない感じで、主要な登場人物についてのリキャップもだいたい完了というところだけれど、今のところ、どこに向かおうというのかは皆目見当がつかない。それをいうならシーズン1から、そういう感じだったとして。

都内では新型コロナの拡大によってバスの乗務員さえ不足しているというニュースが流れる。処方薬さえ不足する事態にあって、なお感染は拡大している状況で、このまま冬を迎えるということであろうか。米国でもマスク推奨の流れが戻ってきているそうだが、このニューノーマルはかなり無理筋ということではなかろうか。