武道実務官

Netflixで配信の始まった『武道実務官』を観る。てっきりドラマシリーズかと思っていたけれど100分程度のコンパクトな映画で、展開が早く勧善懲悪のストーリーもシンプルなので休みの夜に観るのにちょうどいい感じ。とはいえ、陰惨な設定もあって、シリアスとコメディの比率でいえば前者が勝っている。

主線はキム=ウビンが演じる主人公の成長物語なのだけれど、好青年というべきキャラクターの設定がいいので感情移入が楽だし、アクションには思わず力が入る。保護観察官はともかく、これを警護する武道実務官が実際に存在するかはよくわからない。

デイ・アフター・トゥモロー

Netflixに『デイ・アフター・トゥモロー』が来ていて、もう十回以上、観ているとは思うのだけれど、HDの画質がいいので結構、真剣に鑑賞してしまう。これがちょうど20年前の映画で、大西洋南北熱塩循環の異変がカタストロフをもたらすという予言的な題材と前半の内容だけで傑作というべきであろう。いかにもローランド=エメリッヒというべき後半には、ほぼ観るべき点はないとして。

そもそも現在は間氷期にあり、農耕以降の温暖化が地球の寒冷化のサイクルを例外的に遅らせているというのは一定の説得力がある話で、これがシステムの恒常性を破壊する閾値を超えることによって、ほとんど一瞬にして氷期への相転移が起きるというのは案外、真実味のある設定だと思うのである。だとすれば以降、人類が心配しなければならないのは際限のない寒冷化で、嵐が去って一件落着となった本編には語られていない悲劇的な結末がある。

団地のふたり

『団地のふたり』を観る。相応に古びてはいるけれど、間取りの広い昭和の団地に住む元神童の大学非常勤講師を小泉今日子。その幼馴染で売れないイラストレーターが小林聡美で、明かりの少なくなった団地を舞台にした日常が題材となっている。

そのキャスティングと設定だけで楽しみにしていた9月スタートのドラマだけれど、導入はやや説明が過ぎるセリフが続き、どうなることかとかなりハラハラしたので、もう少し経過をみる必要がある。そこまでセットアップを急ぐ必要がある話だとも思えないのだが。とはいえ、昭和を生きた55歳の小娘の話であれば、間違いなく当方は想定視聴者の中心にいるという自覚がある。

マダム・ウェブ

『マダム・ウェブ』を観る。MCUに関係しつつ、しかしこれはソニーズ・スパイダーマン・ユニバースと称するソニーのオリジナルユニバースの第一弾なのだそうである。確か封切りのときには興行の記録もパッとせず、批評家の評判も散々で、何より主演のダコダ=ジョンソンが制作そのものを批判した記事を読んでいたので、あらかじめ期待はしていなかったのだけれど、確かに感心するようなところはなくて、主人公が持つ直近の未来を予知する能力が、映像演出全体を混乱させているようなところがある。端的に言って、設定が演出家の力量を超えているのではなかろうか。加えてストーリー全体は不思議な平たさとご都合主義の合成とみえ、わかりやすさと難解さが同居している。どうしたらこんな雰囲気になるのだろうかと思ったのだけれど、脚本を生成AIでりライトしたと言われても驚かない。むしろ、本当にそうしたことをやっているのではないだろうかという気がしていて、だとすれば観客がそれを見抜いたという点で意味がある作品となっている。

Hit Man

そういえばインド出張の機内で『Hit Man』を観たのである。主演のグレン=パウエルは最近やけにいろんな映画に出ている気がするのだけれど、垢抜けない扮装が似合うので好感がもてる。そのあたりが人気の理由であろう。地元の警察に技術スタッフとして協力する大学の教授が、おとり捜査のフロント役を務める羽目になるコメディなのだけれど、物語の着地は平凡な想定の斜め上にあって、おいおいという感じにびっくりする。それはいいとしても、実話をもとにした映画という触れ込みには、さすがにそんなはずはないだろうという感想しかない。

クロス・ミッション

Netflixで配信の始まった『クロス・ミッション』を観る。引退した凄腕の特殊部隊員が家族にもその素性を秘匿して暮らしているけれど巨大な陰謀に巻き込まれるという、言ってしまえばよくある筋書きの韓国映画で、100分ほどのコンパクトな尺なのでジャンル映画好きとしては少し期待したところもあったのだけれど徹頭徹尾、予定調和的な筋書きで話も広がる気配がないので、もしかしたら80分程度でよかったかもしれない。やや残念。

南海トラフの臨時情報が発出され、中央本線も区間によっては減速運転をしているらしいのだが、この心配を煽るかのように関東で震度5弱の地震が起きる。想定震源域から外れたこの地震は、南海トラフと直接の関係はないと専門家は言うに違いないのだが、この複雑な世界で何が何をもたらすかは誰にもわからないのである。

ゴールデンカムイ

『ゴールデンカムイ』を観る。どの役回りも原作に精一杯寄せている感じだけれど、わけてもアシリパ役の山田杏奈は漫画から抜け出てきたかのようで素晴らしい。それ以上に、本作といい『キングダム』といい、漫画主人公を違和感なく演じてしまう山崎賢人の漫画っぷりには感心するほかない。そして、この長大な物語を実写版でどのように収めてみせるつもりなのかと思っていたのだけれど、WOWOWのドラマシリーズも使いながらの展開となるらしい。なるほど。

こちらにとっては今さら、KP.3の感染爆発によるコロナ第11波がニュースの話題になっている。いうまでもなく、観測の数倍となる感染が既に広がっているだろう。自分が公式には捕捉されていない1名であれば、何となくその雰囲気もわかるというものである。ほどなく、店先から再び解熱剤が消えることになるのではなかろうか。