ゴーストバスターズ/アフターライフ

『ゴーストバスターズ/アフターライフ』を観る。『ゴーストバスターズ』の再びの開幕を告げるトレイラーのカッコよさにはシビれたものである。すでに亡くなっているハロルド=ライミスが演じたゴーストバスターズの頭脳、イゴン=スペングラー博士の次の世代の物語。

1984年の『ゴーストバスターズ』をそのまま受けた続編だけれど、2016年のリブートどころか、1989年の『ゴーストバスターズ2』もなかったことになっている感じ。ジェイソン=ライトマン監督はこの第2作に出演していたはずなのだが、どうしたことか。

孫娘にあたる主人公フィービーのキャラの立ち方は最高で、わかりやすい家族の物語でもある。ストーリーの骨格は親子の葛藤を描くファミリー映画ではあるものの、『ゴーストバスターズ』の当時のファンが40年後近く後に楽しめる話になっている。

チューズ・オア・ダイ

『チューズ・オア・ダイ 恐怖のサバイバルゲーム』を観る。カセットテープでロードしていた80年代のゲームを掘り起こしたことで、これに取り憑いた怪異が現実を侵食し始めるという設定のホラー。アイディアとしては『リング』を参照している様子がある。雰囲気は悪くないのだが、予測不能な展開も度が過ぎて、何だか訳がわからないうちに話は終わる。

だいたい、当時のゲームのロード時間の長さといえば今では失われた感覚だろうけれど、映画の題材になるほどのスピードはなかったものである。この部分のリアリティを追求すれば随分と間の抜けたものになったであろう。何かと雰囲気だけと言えなくもなく、これは企画倒れというものではあるまいか。

窓際のスパイ #5

『窓際のスパイ』の第5話を観る。そういえばMontereyのTVクライアントの安定性はやや改善した気がするけれど、時々、英語表示になるあたりは変わらない。エピソード5のオリジナルタイトルはFiascoで、こちらとしては『エリザベスタウン』を思い出す単語だけれど、物語の中でもそれなりに重要な意味が付与されている。話は序盤のエピソードを地味に回収しながら結末に向かう。

平行して進む荒事は2話にわたり仲間内のもめごとに終始して、このあたりの迷走ぶりはどうかと思うけれど、MI5側のストーリーはほぼクライマックスで引き続き面白い。次回、第6話で完結となるけれど、シーズン2も実現して欲しいものである。

スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム

『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』を観る。トム=ホランドの『スパイダーマン』3作目にして、ホームを冠したシリーズのラスト。MCUの作品世界そのものをマルチバースという概念で引用するマニアックなつくりで、初学者には辛いが、ファンにはいろいろとうれしいストーリーになっている。アメコミというのは、もともと作品同士のつながりを楽しむようなところがあるから、悪くない趣向だと思うのである。話もスペクタクルが過ぎないあたりが好ましいし、ヒーローのモラルがこのようであった時代を懐かしく思い出したものである。

当地は桜の盛りとなり、花冷えの一日。このところの雨で庭の草木も勢いづいていたところを押し止められた様子。山はまだ眠っている。この季節は好きである。

2022/4/16

窓際のスパイ #4

『窓際のスパイ』の第4話を観る。ジャクソン=ラムが動き出した途端、若手カートライトの影もだいぶ薄くなる。ゲイリー=オールドマンは老獪ぶりが際立つ薄汚い風貌だが、違和感のなさは名優の仕事というものだろう。秘書のスタンディッシュにも見せ場が用意され、全編が「遅い馬たち」が逃亡しながら反撃を窺おうかという展開で、物語はクライマックスに向かう。

私たちのブルース

『私たちのブルース』を観る。Studio Dragonの新作であれば、ほぼ無条件に観ても外れはないはずだけれど、タイトルが示す通り、市井のひとたちのあれこれの憂鬱が題材になっていると思うと、ちょっと身構える。基本的には能天気な話が好きである。

とはいえ、そこはStudio Dragonの物語であるから普通に見応えのあるドラマになっているわけで、もちろん暗いばかりの話ではない。だいたい、市井のひとがイ=ビョンホンやシン=ミナだったりするので、この私たちが本当に私たちであるかは微妙。済州島を舞台にしたオムニバス形式の群像劇で、シン=ミナも第1話では登場しないけれど、『海街チャチャチャ』と同じく、海辺の町の風俗が見どころのひとつになっている。きちんと細部が作り込まれていて、情報も多いけれど韓国ドラマの尺の長さがそれを吸収しており、とりあえず出だしは悪くない感じ。

DUNE 砂の惑星

『DUNE 砂の惑星』を観る。ドゥニ=ヴィルヌーヴが監督であることと近年の映像技術が、この重厚な物語の映像化を非常に見応えのあるものにしている。フランク=ハーバートの小説にインスパイアされた創作は数多あるとして、原点にかえってスペースオペラの新たな基準となりうるイメージの美しさを実現した本作もまた素晴らしい。巧妙な脚本はこの尺での『DUNE』を成立させているし、ドゥニ=ヴィルヌーヴ特有の画面と色彩も好きである。

タイトルにPART 1とあるけれど、続編が正式にアナウンスされたのは21年10月で、すんなりと23年10月という公開につながればいいが、この続きはかなり楽しみ。主人公のポール=アトレイデスを演じるティモシー=シャラメも貴公子という言葉そのままの風貌で尊い。