海街チャチャチャ #16

そして『海街チャチャチャ』の第16話を観る。韓流ドラマ最終回の常として、プロダクトプレイスメントの帳尻を合わせにくるのは仕方ないとして、人気作だからなのかその数はいつにも増して多く、押し込まれているような気がしなくもない。チPDがドミノピザを美味しいと言って食べるのも、キャラクター設定を揺るがしかねない珍事である。

それはともかく、前作の流れを引き継いでの葬儀のシークエンスは繊細な感情の置きどころを設えるつくりで、live your own lifeという全編のテーマをおさらいする。よく考えられているのである。もちろん、ハッピーエンドではあって、これまでのいろいろに答えを出して繰り返し波があり、終わってしまうことの寂しさが微かに漂うあたりもいい最終回といえるのではあるまいか。宝くじの顛末もいい。

海街チャチャチャ #15

『海街チャチャチャ』の大団円一歩前、第15話を観る。物語上の衝撃点であった前回のラストから緩やかな浄化を重ね、土地にまつわる因縁まで解かれる展開なのだけれど、これまでのささやかな運命の輪は、より残酷な世界の円環のなかにあって奇跡のように温かな輝きを放っていたことが示されて、この世界の土台が明らかになる。

イジュンのエピソードがホン班長の性質に重ねて語られるように、物語構造の鮮やかな断面が示される仕掛けで、影を描くことで奥行きが引き立つシリーズ構成の妙は見事。キム=ソンホとシン=ミナの華やかな魅力はもちろん、小さな話を積み上げて緩急自在の構築をみせる脚本がこのドラマの面白さを作っていると思うのである。この流れで、宝くじ14億ウォンを当てたのは誰かという、今となってはちょっと浮いているコンジン第3の謎がどのように処理されるか楽しみにしている。

閃光のハサウェイ

『閃光のハサウェイ』を観る。かつて読んだ小説が四半世紀という時間を経て、これほどに完成度の高いアニメーションになろうとは。精密だがぐりぐりと動く画面に、固有の物事の位置関係とこの世界特有の重層的な意味合いをもつダイアログがたっぷりと詰まって、デジタルトランスフォーメーションを果たしたガンダムとしかいえない作品となっている。モビルスーツとしてのガンダムは減光された画面のなかの動きで、その全貌さえ判然としないにもかかわらず。劇場三部作になるという話だが、もちろん物語としてはシンプルな冒険譚に終わらないので身構える必要がある。

海街チャチャチャ #12

引き続き『海街チャチャチャ』を観ている。基本的にツンデレのコンセプトをもつ本作において、今週分の配信は、デレだけで第11話と第12話の都合3時間弱をつないだ偉業によって語り継がれることになろう。いわゆるバカップルな状況が続くので役者も大変だと思ったが、何だか楽しそうだし、主演カップルのキャラクターにも合っているので、これはこれでよいのではなかろうか。一方、第12話ラストには予告がついておらず、その不在に波乱の予感があって、もちろん第13話はホン=ドゥシクの5年間の空白が徐々に明らかになる展開回になるはずである。伏線もいくつか張られているので、物語の時間軸が飛ぶようなことはなく、残り4話で大団円になることもまず間違いないとして。

この日、第100代の首相が選ばれ、新しい内閣が発足する。既にその内実は知れており、仕事ぶりに期待を寄せることはできないということもわかっているのだが、その不具合を隠し果せる余裕はもうこの国には残っていないのではあるまいか。

THE GUILTY / ギルティ

Netflixで『THE GUILTY / ギルティ』を観る。2018年のデンマーク映画のジェイク=ギレンホール主演によるリメイク。オリジナルはミニマルでストイックだった印象が強いけれど、ハリウッドで、アントワーン=フークア監督であれば舞台となる通信指令室もハイテク仕様でカッコいい。伊藤計劃がかつて看破した司令室フェチであれば、それだけでこの91分は長くないし、カリフォルニアの山火事を背景において、閉鎖状況にもやや新味が加わっている。

だがしかし、脚本はほとんどオリジナルのままといえ、作り手の原作に対するリスペクトが窺える。一方、感情の露出が激しく、結末が説明的なのはハリウッドリメイクらしいところだが、正しく蛇足というべきで、惜しい。

このエリアのクレイジーX

Netflixで『このエリアのクレイジーX』を観ている。インパクトのあるタイトルで、主人公の押し出しのビジュアルも強めなので、ちょっと敬遠していたのだが、そこは韓流ドラマ一流の手口であって当然のように面白い。サスペンス3、コメディ7の配分がいい塩梅だし、一話30分前後というのも話の展開が早くていい。細かい出来事がつながっていく脚本の出来が悪くないのである。配信はもう終わっているので、明日にも完走しようかという勢い。

海街チャチャチャ #10

『海街チャチャチャ』を引き続き観ている。もう、ここで終わりでもいいよという満足の第10話、『スタートアップ』の仇を『海街チャチャチャ』で討つ。冒頭から意想外の立ち回りがあって、海の賢者が心の深層を見抜き、幼い日の因縁まで明らかになる盛り沢山の趣向で何かと充実している。しかしあれだ、30年前に行き合っただけの家族のことを覚えているというのはアリなのかね。

この日、月末での緊急事態宣言の解除が決まる。しかし、指数関数的な減少の局面にあって、たとえワクチンの接種率が高くても感染の拡大は容易に起きるというのは数多の先進国で実証済みの事象なのである。さっそくGOTOの復活が取り沙汰されるのも、もはやわざとやっているとしか思えないが、どうなのか。