Knock Down The House

Netflixで『Knock Down The House』を観る。2018年のアメリカ中間選挙で民主党から下院議員選挙に出馬した4人の新人候補が、現職を相手に困難な闘いを続ける様子を描いたドキュメンタリーで、AOCが予備選挙で候補者として推されるところから記録されており見どころとなっている。民主主義の擁護者だったはずの彼の国が深く病んでいて、民主党ももちろん腐敗が進んでおり、しかしそれを変えるのは選挙であることを再認識させてくれる点で啓蒙的である。この映画のなかで当選を果たしたのはAOCだけだったが、ミズーリで現職に大差で敗れたCori Bushは、2020年に再挑戦して雪辱を果たしており、大きな動きはなお続いているのである。

2018年の中間選挙は女性候補が最多となり、当選もまた過去最多となったことでエポックを画したが、痴呆症状を呈した老人ばかりが幅を利かせている本邦の政治の今にこそ、この動きが必要だ。

ヴィンチェンツォ

Netflixで配信の始まった『ヴィンチェンツォ』を観る。最近、『スペース・スウィーパーズ』でも主役をやっていたソン=ジュンギが、イタリアマフィアの顧問弁護士をやっていた流れ者という、ちょっと何をやりたいのかわからない設定の主人公を演じているのだけれど、スタジオドラゴンでNetflix配信作品であれば約束された面白さはあって、早くも続きが気になっている。コミカルなのかシリアスなのか判然としないあたりが心地よい。

この茫漠たる荒野で

『この茫漠たる荒野で』を観る。南北戦争後の変わりゆく時代を背景にしたロードムービーで、トム=ハンクスがインディアンに育てられた娘を、彼女の故郷に送り届ける旅をする。分断されたアメリカを舞台として、ポール=グリーングラス監督の現代的な演出で、各地をめぐりニュースを朗読することを生業とする男を主人公に据えて描く物語であれば、作品のテーマは容易に現在のアメリカと重なってメッセージの奥行きは深い。イーラス郡での物語のくだりは圧巻。

原作はポーレット=ジルズが2016年、トランプの就任した年に上梓した小説だが、ポール=グリーングラス自身も入っている脚本がまずよく出来ている。死んだと思われた男の復活のニュースが語られるラストは、もちろん死せる民主主義の復活を言祝ごうという趣向で、かつて『ショーン』が一時代の終わりの物語と解説されたのと対比をなして面白い。傑作であろう。

スペース・スウィーパーズ

Netflixで『スペース・スウィーパーズ』を観る。この作品に限らず韓国映画のすごいところは、既にある程度の型のあるジャンル映画を期待値通りにきっちり作ることができるところで、科学考証はどうでもいい感じだとしても、スペースオペラをそれほど違和感なくみせるプロダクションの力は既にハリウッドがやっていることとあまり変わらない。大したものである。脚本は盛り付けすぎというものだし、夢オチとさして変わらない破綻はあるとして、大きな問題であるようには思えない。

深夜、福島県沖を震源として、東日本大震災の余震と見られる地震が起きる。

『累』を観る。原作は未読。土屋太鳳と芳根京子のダブル主演によるダークファンタジーで、漂う黄金期の少女漫画感が素晴らしい。絶賛されていた二人の演技は舞台演劇を題材にしたドラマを茶番にしていない。『サロメ』に重ねて進行していくクライマックスの構造も、役者の演技も大したものである。この困難な役を軽々と演じているけれど、土屋太鳳にとってもベストアクトといえるのではあるまいか。

悪霊狩猟団カウンターズ

銀座のクラブの訪問とか滞在とか、けったいな言い回しがメディアで使われている現状が既に本邦の末期的症状というべきだが、この件に絡んだ雑魚が更迭で巨悪は不問という構造では、やはりこの政党は組織暴力と選ぶところがない。それにしても「銀座訪問」というジャーゴンを用いる報道機関は、さすがに恥ずかしくないのか。

Netflixで配信の始まった『悪霊狩猟団カウンターズ』を観る。とにかく熱量があってユニークなドラマを量産するスタジオドラゴンの作品であれば、この先も期待しかないのだが、導入はヒーローものの基本を抑えていて面白い。既にシーズン2が決まっているくらいなので、この後も尻上がりであろう。

必ず捕まえる

『必ず捕まえる』を観る。韓国のシリアルキラーものは描写に容赦がないので観るのにも気合がいるのだが、ちょっと長閑なバディものかと勘違いしたまでである。案の定というところもあって、ストーリーにやや残念さがあるのも否めないのだが、ずるずると観てしまう。ううむ。

そして何となく、『書けないッ!?』を再び観る。空くんの「仙川っ」あたりとか韓ドラ風シーンとか、演出のセンスがよすぎて中毒性がある。好き。