いかに優秀なソフトウェアアプリケーションであれ、発売して一定期間が経てば収穫逓減の法則に従って売り上げも伸び悩むだろうし、Ulyssesのようにサブスクリプションモデルに移行するという選択もあろうが、Mac版のTweetbotはオーソドックスなアップデートでこのたびバージョン3となり無論のこと、そういう生き方もある。今風の丸アイコンになってアップデート感は醸しても、実際の使い勝手は大して変わらないとして。
もともとデザインに思想を感じるデベロッパーで、今回もディテールの精度が一層高まった感じがあって好ましくはあるのだけれど、コラムを増やして表示するのにウィンドウの右下方にマウスをフライオーバーさせ不可視のコマンドボタンを発現させる必要があって、これに何のガイドもないので、アップルの世界にありがちな洗練の行き過ぎとみえ、流石にやり過ぎというものではあるまいか。普通はわからないと思うのである。
それはそうとして、言うまでもなく同じスキームでiOSのクライアントもメジャーアップグレードされるに違いなく、いずれ更新料を払い続けるのであればもうサブスクリプションモデルでいいのではないか。
Apple
languagesetup
macOSのセキュリティアップデートが来ていたので、これを適用したのだけれど、例によって言語設定が英語化されてしまい、sudo languagesetupを使って復帰する。コマンドだけで復帰できるのはいいとして何故、毎回、先祖返りしてしまうのか、この症状はあまり一般的ではないということなのだろうか。そうは言っても、こちらはほぼデフォルト設定で運用しているので疑問は深まる。実害といえるほどの症状はないとして。
144/152
MacとiOS用の辞書アプリを主に開発している物書堂は、過去の製品もきちんとアップデートしてくれる開発姿勢でユーザーからは根強い支持を得ていると思うけれど、3月にリリースされたegword Universal2の64bit対応版はこの10年、渇望されてきた縦書きのMac用ワープロというセグメントにピタリとハマってApp Storeでも絶大な評価を得ているみたい。何しろこの半月で152件のレビューが登録され、そのうち144件が5スターという状況だから絶賛というほかない。顧客志向をここまで徹底している開発元も少ないのではないか。大したものである。
GoodNotes 4
それなりに電子化は進んでいるほうだと思うしApple Pencilも持ってはいるけれど、メモはペンとノートというタイプで、何しろ特に不自由は感じていないので数多ある手書きノートアプリもひと通り試して遠ざかっていたのである。だいたい自分の書く字がそれほど好きではないので、タイプライターでローマ字のメモを作っていたという梅棹忠夫の気持ちさえ何となくわかる。
GoodNotesは定番というべきアプリだけれど、Notabilityと大した違いはなかろうと思って試したこともなく、しかし手書きの日本語を検索してくれるという話を聞いて使ってみようと思い立ったのである。これが凄い。適当に書いた文字でも瞬時に探し出すし、その認識力は訝しいほどに高くて、いったいどういう仕掛けによるものか。コピペでテキストに変換されるのもほとんどマジックというべきであろう。手書きの検索が可能であるという一点で紙とペンに対する優位性は大きく、キラーアプリとなる可能性を秘めていると思うのである。
sudo languagesetup
macOSのアップデートを行うと、ログインやシャットダウンのメニューが英語化される謎症状があって、しかし害というほどのこともないので気になりながら放っておいたのだけれど、思いついて検索してみると比較的によくあることらしくて対処法の説明が簡単に見つかる。ターミナルからsudo languagesetupというコマンドを使って日本語を選び直すだけという簡単な作業で、きちんと修復されているのでちょっとウレシイ。あとは日本語入力が消えてしまうという重大な不具合が発症しなくなるといいのだけれど、ことほど左様に国際的商品開発における日本語の重要性は低下している様子なので事態は予断を許さない。
毀誉褒貶
iOS11の動作にも馴染んできたところだけれど、1ドットの精度にこだわってきたインターフェース設計に緩み出ておりセンタリングやテキストのヘッダー位置にズレが散見されるという記事を読んで、アップルであることの期待値の高さに応えるのも相当にシンドイに違いないと同情する。そういえばメッセージアプリの表示では新着のメッセージがキーボードに隠されることがあって、かなり大きな手抜かりではあるまいかと思っていたのだけれど、なぜかキーボード関係では昔からおかしな仕様が多いので、当方としてはむしろアップルらしいと思っていたのである。そしてそういえば確かに、キーボードを引き下げてシフトを機能させるより押し上げたほうが自然という意見には説得力があって、これには感心した。
Scrivener3
そんなわけでScrivenerを新しいバージョンにアップグレードしてみたわけである。旧バージョンのユーザーはUSD25のアップグレード料金だけれど、主な機能はともかく、設定画面を中心に全面的に手が入っていて、ついにローカライズもされて微妙に怪しい日本語メニューとなっているのでバージョンアップ感は十分にある。このソフトは多機能過ぎるところが善し悪しだと思っているのだけれど、そこも含めた雰囲気は従来のままで正統進化といえるのではないか。今のところ妙な挙動もなくて、意想外の仕様もないのは道具としての正しい姿ということではあるまいか。