クラムシェルで使っていたMacBook Proだが、このところ普通に開いて使うようにしているので、キーボードが日本語配列であることが気になってきて、US配列のM3 Proに買い替えてみる。まぁあれだ、MKBHDが言っていた通り、M1からM3になったからといって、何かが変わったという感じはないですね。内蔵スピーカーに関しては、明らかに音の厚みが異なる印象があるとして。
Apple
Magic Keyboard
そういえば、iPad AirのMagic Keyboardを再び英字配列で買い直して使っている。もともと日本語配列がないことを嘆いていた記憶があるのだけれど、英字配列に慣れてしまえばローカリゼーションなど、どうして必要なのかと思うのが人間というもので、US配列を選べるのがAppleのいいところというのが現在の評価である。昨今の円安状況にあって恐らく国際的な価格ハーモニゼーションの観点から、英字キーボードのノートパソコンの入手性は著しく悪化しており、この点はかなり重要なのである。
大統合
RebuildでWWDCの振り返りを聴いている。それはともかく、改めて考えるとMacBook Airの15インチはおまけのようなもので、このタイミングで発表されたのは単に設計リソースか製造上の都合ということであろう。iOSからiPad OSを分離して、ウィジェットなどの機能の実装は後者がやや後追いすることになったが、結果として個別の品質は上がっているように見えるのと同じく、アップルのプロジェクトマネジメントは集中するポイントを自ら設定する境地にあってブレない。これが勝者の余裕というものであろう。
そしてVision Proを考えると、このところ進められてきたインターフェースの近代化は、このデバイスの全く新しいUIにとっても不可欠だったのだろうという気がして興味深い。前述のウィジェットも、何度も提案されてはそれほど使われない機能に違いないのだが、今回はvisionOSの視野に浮遊して機能することとなり、体験や有用性もちょっと変わってくるのではなかろうか。我々はこれまでより一段大きな枠組みで、その統合的な構想の実際を確認することになる。
WWDC
WWDCのキーノートをざっと眺める。噂のVision Proは、これまで数多のSFが示してきた仮想世界のハンドジェスチャーに没入する未来人像をリアルに出現させることになるという点で、どこか終末感も感じさせる気がする。万人がスマホを覗き込む未来の果て、この奇怪なヘッドセットを装着して窺い知れぬ世界を彷徨う人々の群れというのは、もちろんディストピアの光景であろう。
各OSのアップデートはどれも順当な雰囲気で、このあたりは冒険なく細かな改良を続けてくれれば文句はないので、よろしいのではなかろうか。ハードウェアではかねて噂のMacBook Air 15インチが登場して、外見のバランスが案外いい感じなのでちょっと気になっている。キーボードの配置ひとつで満足を感じることができるというのが筋金入りの境地というものである。
反動
このところPCの販売は低調という話を聞くけれど、特にAppleが大きく販売を減らしたことが話題となっている。足もとの経済は落ち込む方向にあるから前年同月比での減少に驚きはないし、ソフトウェア業界の人員削減の規模をみれば、十万のオーダーで需要が消失しても不思議はないのである。いやはや。
そして何しろM1からM2への変化はそれほど大きいわけでもないから、こちらにしたところで当面、ラップトップを買い替える必要はないんじゃないかと思っている。あまりにも性能向上が圧倒的だったので、忠実なAppleファンはM1世代で大挙して乗り換え、その大波の後の波形が物理の法則に従って大きく沈み込んだとしても、これまた不思議はない。やや戻したあと、しばらくは横ばいで推移というのが今後のイメージではなかろうか。M3で15インチのMacBook Airが出るという噂があるけれど、それはニッチというものであろう。
AirPods Pro 2
IEMはMoondropのKatoの音質にすっかり満足しているので、このところのオーディオデバイスの探索は沈静化していたのだけれど、秋にAirPods Proをお嬢にあげてしまったことがあって、ワイヤレスはひとつあってもいいかなと思っていた。Katoの遮音性がかなり高いこともあって、ノイズキャンセル機能はわりとどうでもいいのだけれど、取り回しを重視する方である。そうなると選択肢は第2世代のAirPods Proくらいということになるので、あまり迷わずこれを買ってみる。
新たにH2チップを搭載して、あらゆる細部の完成度が上がったという感じの製品になっているのだが、肝心の音質も解像度が上がった印象でこちらの使い方では文句をつけるところがない。底上げを着実に果たすあたりは簡単にできることではないので、いかにもアップルらしいアプローチに感心したものである。
Macで使ったときにブラウザによって音質が違うことに気がついたのだけれど、Chromeでは空間オーディオが働いていない様子で、明らかにSafariの方が豊かな音になっている。以前はここでの違いはあまりなかったと思うのだが、なるほど、ソフトとハードの連携によって顧客体験を改善するというのはまさにこういうことであろう。エコシステムに完全に取り込まれている身としては、この淡々とした前進に驚いたのである。少なくともしばらくは、デフォルトのブラウザをSafariに戻して運用することになると思う。
M2
この日の深夜、噂されていたMacBook ProとMac miniのM2ベースのチップへのマイナーアップデートが発表される。仕様上はMac miniにM2 Proのラインが追加されたことが大きな変化というくらいで、ほぼ並行移動という印象の発表で、価格としてもMac miniのスタートが100ドル引き下げられて599ドルとなっている。隙間を漏れなく埋めていくという点で非常に整然としたものである。
しかし日本の市場向けの為替レートは税込でざっくり140円の水準で、否応なく購買力の低下を実感させられる。アップルは為替の対応をかなり機械的に行なっている様子だから、淡々としたものだけれど世知辛いものである。メインストリームがこの調子だと、信者の多い日本であってもさすがに売れ行きに影響が出るのではなかろうか。このじわじわとした余裕の干上がり方こそ、国が貧しくなっていくさまの実相であろう。