iOSのPodcastアプリにアップデートがきていて、例によってあまり考えることなくアップデートしたのだけれど、マイ放送局という垢抜けない呼称の機能を実装した今回のバージョンでの一番の変更は実は例のSkeuomorphic UIの放棄かもしれず、オープンリール式のテープレコーダーを模したコントロールパネルが廃止されている。いかにも、あの画面はいろいろと過剰であったし、だいたい今どきの人たちにはオープンリールの説明から入らなければならないのだから、そもそも不毛であって、新しい方向性は嫌いではないのだけれど、ある種の特徴が削ぎ落とされていくこともまた事実であり、移行が終わったあとに立ち上がってくる世界観の是非についてはまだ分からない。
Apple
Daedalus Touch
生産性ツールというのは因果なアプリであり、そもそもそれが十分に働いている限り、新機能など不要なのであって、開発努力の方向は安定化に向かうべきなのである。
エディタというのはその最たる例で、多くがアドインによる機能充実化に向かうのは故なきことではないと思うし、個人的にはテキストに使うエディタはWriteRoomと定めて久しい。
そう言いつつ、いろいろダウンロードしては試してみているのも事実であり、これは純粋に趣味の範疇なのだけれど、以前、リリースされたばかりのころ購入したDaedalus Touchを再びインストールしてその進歩を確かめてみた。
ピンチとスワイプによるファイル操作を基本とする野心的なiOSエディタなのだけれど、あらかじめ危惧されるとおり、初期バージョンは相当にバギーでちょっと使えなかったのである。
久しぶりに弄ってみると、歳月の流れとともに安定性は増しており、当たり前とはいえ一度もクラッシュすることなく、感心するのは体感的なスピードが大いに向上していることで、正当進化の方向が確認できたわけだけれど、動作が洗練されるとともにもたげるのは、おおもとのコンセプトであるピンチとスワイプによるファイル管理の必要性であって、己が保守性がWriteRoomでいいやんかという声に抗する見解を持たない。
Drafts for iPad
エディタ遍歴は長い方だが、特に懲りるということもせずiOS用のDrafts for iPadを導入して弄っている。
単なるエディタというよりはあらゆるテキストの下書きの、いわばハブとなることを目指しているソフトで、かつてはテキストのコピーさえも出来なかったiOSにおいてこそ有用な仕様であってなかなか気持ちがいい。いろいろと書き散らかして、まずは草稿を溜めておくという感じ。
スタイラスペン
iPadでスタイラスペンを使うことはほとんどなくて、過去に買い求めたSupenもほぼ放置という状態だったのだけれど、思い立っていつも持ち歩いているカバンの隅からこれを取り出したところ、繊細なペン先は摩擦により破けており、相当に使い込んだ後みたいになっている。あれれ。何だかもったいないので、またぞろ手書きメモのアプリをいろいろと試してみるが、どれも一長一短でやっぱりどこかしっくりこない。正直なところ、iPadで手書きのメモをとっているひとというのは実在するのであろうか。
ソフトウェアキーボード礼賛
外付けのキーボードもいいのだが
年末にiPad用のキーボードを買って、それはそれでなかなか重宝ではあるのだけれど、ひとしきりハードキーボードでの入力を試してみた結果として、ソフトウェアキーボードというのもなかなか快適なものであるなという気になっている。
実際、iPadの入力環境として一番しっくりくるのはWriteRoomをソフトウェアキーボードで使ったときの印象であり、この文章もそうして書いている。
iPadの画面をちまちまとつつくことを良しとしない風潮が世間の大勢であるというのは残念なことではあるが、同じソフト入力でも、評判の良いATOKPadは肝心のキーボードのデザインがイマイチな印象で使う気にならないので、当方としても絶対ソフト主義を貫こうという立場ではない。ただ、使い慣れてみると、デフォルトのこれは相当に考えられたシロモノだという気がするので、もう少し擁護論があってもいいのではないかと思うまでである。
風説によれば、このキーボードは単に物理的なキーボードを模して作られているだけではなく、その入力範囲も見た目とは異なるかたちでデザインされているということだから、意外にも快適ということがあったっておかしくない。そして最近の使用感はそうした仮説を裏付けている。
数ある美点
画面の下半分を占有するサイズは絶妙で、両手で打ち込みつつ日本語の変換候補を選択するのに快適な範囲に収まっている。iPad miniでどうなっているかは知らないけれど。
クリック音は控えめながら入力のフィードバックを伝えるに十分な働きをしていて心地よい。実際のクリック感がないことをさほど欠点にしていない気さえする。日本語変換も実はかなり賢くなっていて、固有名詞にも地味に強い。
キーの配置もよくできている。ソフトウェアインターフェイスの面目躍如というべき切り替えの妙があって、打鍵の効率はハードウェアに負けていない。
何より重要なのは、これらの特長が寝床で寝そべりながら使うには最適であるということであり、寝落ちして枕にしたところで壊れるところがないという安心感は無類であり、もしかしたらこれに尽きる。
Marked
エディタならWriteroomというところは、ほぼ固まっていて、iPadでもiOS版を重宝している。Dropbox経由のシンクロがいい按配に機能するのでほぼ不満はないのだが、Markdownによる記述には対応していないということがあって、Bywordの再登板もあり得るとは思っていた。ただし、このiOS版はまだまだ熟成中でバギーな印象がある。
エディタとは異なるけれど、Markdown記法に対応したMarkedというビューワがAppStoreにあって、リアルタイムに近い表示と自在なスタイルシート設定で必要十分な機能があり、Writeroomとの補完関係が秀逸でいい感じ。というわけで、このところこれを使っている。
例のマップ
職場の忘年会で松本の外れの旅館へ。 酒を飲まないつもりで車を使ったのだけれど、場所に自信がなかったので、iOS6の地図アプリを起動してナビゲーションをさせてみる。発表以来、クソミソに言われているマップだけれど、このナビはルートナンバーのついた道であれば、なかなか優秀に誘導してくれるみたい。どうりで地図上にはくどいほど路線番号が表示されていて、これは完成度の低さに由来するのかと思っていたのだけれど、さにあらず、道案内の思想に基づくものであって、目から鱗が落ちる。だがしかし、これは大陸風の地図の読み方であって、本邦に受け容れられるかはよくわからない。