Yagi

この日、台風11号はカテゴリー5のハリケーンに匹敵するスーパー台風となって海南島を直撃する。この様子を撮影した動画が多くアップロードされているのだけれど、時速では200キロメートルを優に超える風速に吹きつけられて窓は割れ、トラックは横転して甚大な被害をもたらす。この激甚状況に人間ができることはなさそうである。そして近海の海水温の上昇が、こうした台風被害を本邦にもたらすことになっても不思議はない。

新しいNHK土曜ドラマ『シュリンク』を観る。中村倫也が主人公の精神科医。そもそもこの枠のドラマは水準が高いので、続きも楽しみにしている。

名古屋

久しぶりに名古屋方面への出張。このところの天候は落ち着いているので鉄道は問題ないけれど、まだ秋の気配すらなく日差しは照りつける。千種、金山、名古屋あたりをいろいろと移動したのだけれど、都市としても東京とは時間軸方向でズレてきている雰囲気で、結果として地域性が際立っている様子があって面白い。多様性というものには、こうした発現の仕方もあるのだ。木曽路を遡り、中央道の工事でむしろ駅と自宅の間の移動に時間がかかる車社会。

メインテーマ

引き続き『虎の翼』を観ている。劇中は原爆裁判の1963年にあるが、あらゆる現代的な問題を扱うこのドラマは、もちろん人道に反する原爆の使用だけでなく、今なお核兵器禁止条約への参加を拒む唯一の被爆国を批判するだろう。この日はメインテーマ曲の『You are so amazing』が静かに流れる回。

茶道部

SNSのバズりからは距離を置く方針で、そもそもTwitterなき後、SNSというものにはほとんど関わっていないのだけれど、YouTubeで見かけてオランダのアザラシ幼稚園というストリームを今さら理解してしまう。あのプールに浮かぶアザラシを茶柱と見立てて、これを眺める者たちを茶道部員という風流には感心する。このぼんやりとした比喩的修辞が、まさに見立てとして日本文化のかつてのありようを想起させ、このブームも日本での局地的なものであるというのも面白い。

団地のふたり

『団地のふたり』を観る。相応に古びてはいるけれど、間取りの広い昭和の団地に住む元神童の大学非常勤講師を小泉今日子。その幼馴染で売れないイラストレーターが小林聡美で、明かりの少なくなった団地を舞台にした日常が題材となっている。

そのキャスティングと設定だけで楽しみにしていた9月スタートのドラマだけれど、導入はやや説明が過ぎるセリフが続き、どうなることかとかなりハラハラしたので、もう少し経過をみる必要がある。そこまでセットアップを急ぐ必要がある話だとも思えないのだが。とはいえ、昭和を生きた55歳の小娘の話であれば、間違いなく当方は想定視聴者の中心にいるという自覚がある。

地球へ

エコーチェンバーの対策としてYouTubeの履歴は時どきリセットすることにしているのだが、そうすると思いがけないおすすめをされるようになって、最近では懐かしい曲ばかりを推してくる。それにしたって、どこかにうっすらと嗜好をつなぐ情報が残っているに違いないのだが、『地球へ』の主題歌が出てきたので、しみじみ聴いてしまう。家にサウンドトラックがあったのは小学校の頃だったか。

F1

『100カメ』が福島第一原発の廃炉作業を扱っていて、事故後、13年後にして始まったばかりという建屋カバーの装着作業を興味深くみる。建屋は爆発後に野晒しの廃墟となってなお高線量のため、瓦礫を動かそうにも飛散のリスクがあって手がつけられずに来たのだが、これを鉄骨のカバーで覆い解体しようという計画のごく一部が、多数の人的資源を投じて進められている。年間の累積線量が規定をオーバーすれば以降は働けなくなる現場で、基本的に消耗戦というべき後始末作業に投じられている膨大な物量は恐ろしいほどである。建屋カバーといっても、ひとつが100トンを超えるブロックを70以上も使って取り囲もうというのだから、そのスケールも常軌を逸している。その現場を支えているのは、市井の職人たちなのである。

それにしても、たびたび思うことだが、このリスクをもつ技術をふたたびエネルギー政策に呼び戻そうという経済人は、そもそも損得の一般的な概念を理解できていないのであろう。必見。