ジャーナル

この週末からノートを手元に置き、手書きでジャーナルを書く習慣をつけようとしている。少し前にあずさに乗った時に、熱心にノートを書いている老人がいて、そうしたスピードでアウトプットができるのは大したものだと感心して、ちょっとやってみようと思ったのである。こちらはそもそもハンドライティングの習慣が廃れてしまっているので、リハビリから始めなければならぬ。脈絡などハナから求めていないので、1日2-3枚を書くことはそれほど難しくなさそうだし、そうした習慣を持続するのはわりと得意な方である。

この日、兵庫県では知事の辞職を受けた選挙が行われる。前職がやや有利という報道をみると、選挙におけるトランプ現象というのはある程度、汎用的なもので、その手法も大差なく、しかし有効性が立証されつつある。民主主義の脆弱性を利用したハッキングというべきではないか。

COP29

11日から開催されているCOP29は途上国への温暖化対策の援助でモメているという話だ。今年は平均的な気温が1.5度シナリオの想定を上回り、1.53度となったことが最近も伝えられているけれど、世界各地で大雨と洪水の記録的な被害が発生したことを振り返れば、気候変動そのものを否定する向きは少ないに違いない。

一方で、国連がいうように、人間の安全が脅かされ、不平等や格差を拡大するように働く危機こそ本質的な問題だとすれば、あらゆる格差の拡大を見過ごしてきた各国が、この点だけ協力するようになる理由もまたないのである。まして、トランプが返り咲く世界では。

クラウド

クラウド型のサービスのスピードは、今やそこそこ長い歴史を経てあらゆるものが速くなっており、不満を感じることも少ない。NotionにAPIで1万個近いドキュメントをインポートする作業も意外にスムーズで、やはりコンテンツは全てクラウドサーバーに集約されていくのかと思ったのだけれど、実際の使用感にはビューの切り替えひとつに重さを感じざるを得ず、その不満を抱えながら運用すること自体にあまり意味がないので、ちょっと考えている。

おそらく、ひとつのデータベースのコンテナページに、全てのデータを持たせている構造自体があまり想定されていないのだけれど、それ以外に構成できないケースはあるし、そもそも2万行までは持てることになっているのだ。いや、実際のところ相当、頑張ってパフォーマンスを出していると思うのだけれど、ローカルでの運用と体感を比較する以上は、やはり十全という訳にはいかないのである。当たり前のことではあるけれど。

それはおくとして、1億人を超えたというNotionのユーザーの利用度がどのように分布しているのかには興味がある。企業ユーザーが膨大なドキュメントを持ち込んだとして、満足するパフォーマンスは出ているのだろうか。そう考えると近ごろ同社のCTOにGoogleでスプレッドシートを開発していた人物が採用されたという話はずいぶん、腑に落ちて、依然としてスピードを追求するということが至上命題であるには違いないのであろう。

猟官

この日、下院議員選挙でも共和党が多数を制する見通しが確実となる。新政権の人事は忠臣や価値観を共有するエキセントリックな有名人が名を連ね、大国の斜陽はいよいよあからさまなかたちとなって現れてきた。どんな帝国も滅びるものであれば、今その様子を目のあたりにしてるとしてもおかしくない。一部の地域では空前の経済的繁栄を目にしながら、同時的に自由が窒息する状況を歴史は繰り返し再現していて、第一次世界大戦前の雰囲気というのは、ちょうどこんな感じだったのではあるまいか。

NotionのAPIを使ってマークダウンのテキストファイルをインポートするスクリプトを試している。最近では生成AIの指導を受けながらスクリプトを書けば、Pythonを使って大抵のことはできるようになっている気がする。いうまでもなくAIの波をいちばん大きく受けているのはソフトウェア業界であろう。

GOOD NIGHT OPPY

Amazon Primeで『GOOD NIGHT OPPY』を観る。『宙わたる教室』の第3話も触れられていた火星探査ローバー、双子のオポチュニティとスピリットを題材にしたドキュメンタリー。90日間の活動限界と想定されていながら、2000日以上もの月日を活動したスピリットと、それをも越え、15年にもわたって火星を探査したオポチュニティの苦闘を題材として、科学的な内容はほぼないのだけれど、JPLが挑戦したロマンそのものをきっちり描いていて泣ける。藤竹先生が言っていたように、オポチュニティの探検はそれを支えたチームの旅でもあったのだ。

ローバーの開発では、デザインに人間らしい特徴を持たせることにしたということなのだが、カメラの解像度は人間の正常視力と同等、全高160センチの機体は作中でもCGによって再現されていて、出来はなかなかいい。地球よりも40分長い火星の1日をSOL 1として、スピリットはSOL 2196の火星の冬に沈黙し、オポチュニティはSOL 5262もの間、満身創痍となりながら長い長い旅をして、その苦闘と孤独の物語は、それ自体がやがて意味をもつほどのものだったのである。オポチュニティが撮った、自身のつけた長い轍の写真やSOL 5000を記念した合成の自撮り画像は写真史上の記念碑のひとつであるに違いない。

JPLセンターはオペレーション再開にあたってウェイクアップソングを流すことを伝統にしていて、その選曲のセンスが抜群なので感心する。通信が途絶した緊迫の場面でABAのS.O.S.が流れたのは苦笑するほかないとして。

宙わたる教室

『宙わたる教室』を観る。原作の小説は未読。NHKの夜ドラマの質の高さは約束されているようなものだけれど、窪田正孝のクールなキャラクターが際立つ話はどれもいいし、やや苦味の残る感じも悪くない。これもまた多様性の話である。本当に理解したいのであれば、まずは手を動かすという先生の教えは全くその通り。

海に眠るダイヤモンド

『海に眠るダイヤモンド』は第3話。冷蔵庫、電気釜、テレビが売れる端島の春、屋上にアンテナの乱立するコンクリ団地を描くゴールドラッシュの様子は、エピソードの面白さで目が離せない。この1950年代は真新しいのに嘘臭さがない。言ってしまえば、ありがちな詐欺師の話だけれど、これが物語のディテールの力というものではなかろうか。いや、面白い。