全体最適

中国の生活には自走ロボットが溶け込んでいるのであろうと思う場面も多いけれど、既にしてやや草臥れている感じが否めない。この人たちがよく喋るだけに、その感慨は一層、深まる。

国内移動の飛行機はやや小ぶりのジェット旅客機ということもあり、基本的に混んでいるという話は聞いていた。この日の搭乗便は機内持ち込みの荷物が多すぎて出発することができず、調整のひと騒動があって遅延し、40分遅れて離陸。市街中心部の交通が、あまり変わらぬカオスであるということをみても、全体最適化はほぼ進んでいないイメージで、全要素の生産性向上が進行することによる経済の成長余地はまだまだあるというTFP論が根強いのも頷けるけれど、それが可能であるかはわからない。そのデザインされた秩序の獲得はバイタリティと引き換えに達成される偉業のようにもみえる。

ガチ中華

引き続き-1時間の時間帯にいる。日中の仕事を経て、夜は湖南料理で地元の白酒というタフな宴会。旺盛なホスピタリティの発露として、モダン琵琶の演奏まで堪能できたので得難い経験であるには違いない。

炒飯狙撃手

『炒飯狙撃手』を読んでいる。台湾を舞台とした警察小説であり、ヨーロッパの広域を舞台にしたスリラーアクションでもあって、ちょっと面白味のあるタイトルはこうした意外な組み合わせも連想させ、まず飯が旨そうという美点を際立たせている。退職目前の刑事が追う軍が絡んだ陰謀は、実際の軍艦汚職を題材にしているそうだけど、それ以上に飯のリアリティが全てを納得させていく感じ。面白い。

この日は羽田から北京に飛んで天津に移動。車の警笛が常に聴こえている。

探偵マリコの生涯で一番悲惨な日

『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』を観る。伊藤沙莉が歌舞伎町で店を経営する探偵という設定なのだけど、冒頭から謎の宇宙人が光を発し人体を蒸発させるシュールでサイケデリックな雰囲気。『発狂する唇』か『血を吸う宇宙』かと思ったけれど、それよりはキャラクターに関心を払っている様子はあって、であればこそ中途半端な感じがなくもない。新宿の異世界ぶりは微妙に後景に見える。マリコが活躍するという感じでもない、といような勿体なさがある。2人の監督の手によるいくつかのエピソードから全編が構成されているということだけれど、もしかするとそれに起因する印象かもしれない。

この日は夜移動して羽田空港前泊。

第8週

まだ第8週だというのに、こんなにも悲しい別れを描くとは。『虎に翼』の展開から目が離せなくなっているけれど、このまま失われたままになってしまうこともまた間違いないのである。この物語の時間軸の描き方には独特のリズムがあって、脚本も演出も質が高い。

この日、フィリピン近海で台風1号の発生が予想される。来週にかけて南西諸島へ接近するとみられているのだが、飛行機に乗る予定があるのでちょっと気になっている。

アウトブレイク

The New York Timesはミシガン州の酪農業者が、H5N1鳥インフルエンザに感染したことがわかったと速報で伝えた。2022年のコロラドでの症例に続く2件目で、すでに回復して症状も軽いという話だが、次のパンデミックはインフルエンザになるというのが大方の見方であれば、これらの事例のうちに、そのきっかけとなる可能性があるということだろう。

赤紙

『虎に翼』は、直道の出征のショックも冷めやらぬというのに轟にも赤紙が届く。国民服もモンペも徐々に物語に入り込み世相はいよいよ暗く、この後には優三の戦没という衝撃が待ち構えているに違いないのである。なんてことだ。

この日、日本の10年もの国債の金利は11年ぶりに1%を上回る。金利のある世界への移行を先取りしているというよりは、非伝統的な金融政策の行き詰まりを見越しているという状況ではないか。この冒険主義のツケを払うことになるのはもちろん、すべて国民なのである。