武道実務官

Netflixで配信の始まった『武道実務官』を観る。てっきりドラマシリーズかと思っていたけれど100分程度のコンパクトな映画で、展開が早く勧善懲悪のストーリーもシンプルなので休みの夜に観るのにちょうどいい感じ。とはいえ、陰惨な設定もあって、シリアスとコメディの比率でいえば前者が勝っている。

主線はキム=ウビンが演じる主人公の成長物語なのだけれど、好青年というべきキャラクターの設定がいいので感情移入が楽だし、アクションには思わず力が入る。保護観察官はともかく、これを警護する武道実務官が実際に存在するかはよくわからない。

記憶

前田裕二『メモの魔力』という本があって、一定数存在するプロダクティビティマニアへの訴求そのものが目立つので以前から存在を認知しつつ、であるがゆえに敬して遠ざけているようなところがあったのだけれど、冒頭近くをパラパラと読むと、記憶のためのメモと、キャプチャーから分析、仮説化、検証といった科学的な検証サイクルのイメージに近いメモを峻別して、どちらかというと後者を推している印象でなるほどと思う。科学の方法が強力なのは実証済みの事実であり、これが習慣的に可能ならそれなりに有用であるには違いないのである。

ところで、もう何年もブログを運用していて、ときどき過去の記事を振り返ることがあるのだけれど、記述した当時の記憶どころか、書かれた内容も全く覚えてないということが結構あって、この年になると記憶のためのメモもかなり有用なのだが、そもそもメモの内容を理解できないことが問題であって、我々は観測不可能な領域が光速を超えて広がる世界に棲んでいる。やれやれ。

雷鳴

この日、夕方から雨が降り、遠くで雷鳴が轟く。夏も盛りという感じの天候で、これが10月半ばまで続くというニュース記事を読む。札幌と沖縄の平均気温の差は、ならすと1度程度に収まるというが、今や日本全体が知らない間に沖縄気候にシフトしているような感じ。

911

いよいよ9月も半ばというのに、日中は引き続き30度を超える暑さ。夕方にひと雨あって、夜は湿度が急上昇して、どうにも秋という感じではない。言いたくないが、どうしたことか。

アメリカは大統領選に向けた討論会。全体としてはハリス優勢という流れのようではあるけれど、聴衆の反応は微妙という気がしなくもなく、岩盤的なトランプ支持者は微塵も揺るがないであろう。

ロボ

ほとんど十数年ぶりにファミレス系列の店でご飯を食べて、配膳ロボットが仕事をしている様子を興味深くみる。安全基準が設定されている工場であればあり得ないような距離で機械が移動していて、人機械協働というイノベーションが規制の存在しないところに実装されると思えば、いろいろ興味深い。いやしかし、このロボットから食事を受け取ろうと待ち構えていたのだけれど、人間のバイト君があっさり持ってきて、運用の柔軟性もずいぶん確保されているみたいなのである。あれれ。

窓際のスパイ

Apple TV+で『窓際のスパイ』シーズン4の配信が始まったので、この第1話を観る。既にシーズン5の制作が決定しているだけあって、いろいろと安定の面白さで派手目の導入となった本作もつかみは十分といった感じ。原作の供給が間に合わなくなるというのが一番の懸念かも知れず、しかし例によってエスピオナージュとしては、むしろ原作の印象をこえる映像化になっていると思うのである。もちろんゲイリー=オールドマンの貢献は大きい。

この日の深夜、iPhone 16が発表される。WatchやAirPods 4まで含め、どれも順当な進化でスキがない王者の貫禄。

デイ・アフター・トゥモロー

Netflixに『デイ・アフター・トゥモロー』が来ていて、もう十回以上、観ているとは思うのだけれど、HDの画質がいいので結構、真剣に鑑賞してしまう。これがちょうど20年前の映画で、大西洋南北熱塩循環の異変がカタストロフをもたらすという予言的な題材と前半の内容だけで傑作というべきであろう。いかにもローランド=エメリッヒというべき後半には、ほぼ観るべき点はないとして。

そもそも現在は間氷期にあり、農耕以降の温暖化が地球の寒冷化のサイクルを例外的に遅らせているというのは一定の説得力がある話で、これがシステムの恒常性を破壊する閾値を超えることによって、ほとんど一瞬にして氷期への相転移が起きるというのは案外、真実味のある設定だと思うのである。だとすれば以降、人類が心配しなければならないのは際限のない寒冷化で、嵐が去って一件落着となった本編には語られていない悲劇的な結末がある。