茶道部

SNSのバズりからは距離を置く方針で、そもそもTwitterなき後、SNSというものにはほとんど関わっていないのだけれど、YouTubeで見かけてオランダのアザラシ幼稚園というストリームを今さら理解してしまう。あのプールに浮かぶアザラシを茶柱と見立てて、これを眺める者たちを茶道部員という風流には感心する。このぼんやりとした比喩的修辞が、まさに見立てとして日本文化のかつてのありようを想起させ、このブームも日本での局地的なものであるというのも面白い。

団地のふたり

『団地のふたり』を観る。相応に古びてはいるけれど、間取りの広い昭和の団地に住む元神童の大学非常勤講師を小泉今日子。その幼馴染で売れないイラストレーターが小林聡美で、明かりの少なくなった団地を舞台にした日常が題材となっている。

そのキャスティングと設定だけで楽しみにしていた9月スタートのドラマだけれど、導入はやや説明が過ぎるセリフが続き、どうなることかとかなりハラハラしたので、もう少し経過をみる必要がある。そこまでセットアップを急ぐ必要がある話だとも思えないのだが。とはいえ、昭和を生きた55歳の小娘の話であれば、間違いなく当方は想定視聴者の中心にいるという自覚がある。

地球へ

エコーチェンバーの対策としてYouTubeの履歴は時どきリセットすることにしているのだが、そうすると思いがけないおすすめをされるようになって、最近では懐かしい曲ばかりを推してくる。それにしたって、どこかにうっすらと嗜好をつなぐ情報が残っているに違いないのだが、『地球へ』の主題歌が出てきたので、しみじみ聴いてしまう。家にサウンドトラックがあったのは小学校の頃だったか。

F1

『100カメ』が福島第一原発の廃炉作業を扱っていて、事故後、13年後にして始まったばかりという建屋カバーの装着作業を興味深くみる。建屋は爆発後に野晒しの廃墟となってなお高線量のため、瓦礫を動かそうにも飛散のリスクがあって手がつけられずに来たのだが、これを鉄骨のカバーで覆い解体しようという計画のごく一部が、多数の人的資源を投じて進められている。年間の累積線量が規定をオーバーすれば以降は働けなくなる現場で、基本的に消耗戦というべき後始末作業に投じられている膨大な物量は恐ろしいほどである。建屋カバーといっても、ひとつが100トンを超えるブロックを70以上も使って取り囲もうというのだから、そのスケールも常軌を逸している。その現場を支えているのは、市井の職人たちなのである。

それにしても、たびたび思うことだが、このリスクをもつ技術をふたたびエネルギー政策に呼び戻そうという経済人は、そもそも損得の一般的な概念を理解できていないのであろう。必見。

休出

出張から戻った週末のこの日も休日出勤して仕事。基本的に土日は完全オフというポリシーを運用してきたはずなのだが、この数ヶ月は異常な状態に落ち込んでいる。このうえ地域の活動もあって、文化的自己研鑽が滞っている。

台風10号はそろそろ温帯低気圧になるのかと思っていたのだが、引き続き遅い速度で迷走というべき動きを見せ、当地でも時おり、強く雨が降る。

台風

この前夜、台風の本体は遠く九州にあって、しかしその大きな回転は海上から水分を多く含んだ大気を本州沿岸に吹きつける。日本各地で大雨が降り、道路は冠水して、鉄道は雨量の増加にともない至るところで止まる。

そういうこともあろうかと、出張移動を早めていた当方が都内のホテルで安眠を貪っていた頃、中央本線は夕方から東京都から山梨にかかるあたりの雨が規制値を超え、走行中の特急は途中の駅で立ち往生となる。この遅延は300分を越え、目的地の新宿に着いたのは午前4時近くとなったそうである。車中では早速、車掌に喰ってかかる乗客が出現し、人は食料に群がったということだが、なるほどそうした民度であれば、小惑星衝突によって文明崩壊が迫るくらいの天変地異では世紀末的な荒んだ世界が俄かに現出するシナリオにも説得力がある。

迷走

太平洋と大陸の高気圧に挟まれた台風10号は九州上陸後も遅々とした動きで、やや勢力を弱めつつも日本各地に大雨を降らせる。この日は結局、東京出張もキャンセルとならず、もともと泊まりの予定だったのだけれど中央本線は大月付近の大雨の影響で運休となっているみたい。困るのだけれど、平常運転といえばその通り。