この日は夕方から雨、時おり激しく降る。こうした雨が過ぎた後に草花は目に見えて大きくなり、『となりのトトロ』で描かれた草木の急速な成長はさほど誇張でもないということを毎回、思うのだけれど、その過程で温暖化ガスは植物に吸収され、炭素として固定されるので地質的なスケールでは際限なく温暖化がすすむことにならないというのが地層の教えるところである。この新陳代謝のなかで人類が生存を維持できるかはまた別の問題だとして。
Hit Man
そういえばインド出張の機内で『Hit Man』を観たのである。主演のグレン=パウエルは最近やけにいろんな映画に出ている気がするのだけれど、垢抜けない扮装が似合うので好感がもてる。そのあたりが人気の理由であろう。地元の警察に技術スタッフとして協力する大学の教授が、おとり捜査のフロント役を務める羽目になるコメディなのだけれど、物語の着地は平凡な想定の斜め上にあって、おいおいという感じにびっくりする。それはいいとしても、実話をもとにした映画という触れ込みには、さすがにそんなはずはないだろうという感想しかない。
台風10号
この日、マリアナ諸島近海で台風10号が発生する。今回の想定されている進路はどのモデルでも関西から中部にかけて本州を目指すもので、今度ばかりはコースが逸れるということにはなりそうにない。来週半ばにかけては、またも大きく荒れた天気になりそうである。それに従い、いったんは暑さも和らぐようなので良し悪しというところだけれど、まいったね。暑い暑いといいたかないが、インドよりも暑いというのは、さすがにどうかと思うのである。
早朝営業
インドから日本への帰路。中継地のチャンギ空港へは午前6時の到着だったのだけれど、もともとショッピングモールかと見紛う空港内はすべての店舗がフルスペックで営業していて、経済を回すというのはこういうことだろうとと驚嘆する。ハブ空港である以上は朝から行き交う旅客も多いとはいえ。
18時のあずさに乗り、20時半には家に帰り着く。インド内陸から24時間内に帰宅できること自体は驚くべきことだとしても、長い。
植民地時代
この地は2006年にベンガルールというように名前が変わったのだが、バンガロールという耳馴染みのある呼び名は浸透していて、しかし植民地名称の再評価における名称変更だと聞けば無邪気にバンガロールというのも憚られる。とはいえ、欧米の人間は、そんなことを全く気にしていないようである。
この日、日中は長時間のミーディングをして夜、空港に移動。途中、食事をしたりもしたのだが、23時過ぎのフライトで帰路について、ほとんど1日がかりの長い移動となる。
バンガロール
初めてのバンガロール改めベンガルールは、近年、多くの点で近代的な都市化がすすんでいるという話で、空港などは小綺麗な感じになっているけれど、街中を走れば生活はそこにあり、エントロピーは発散に向かい運動して、単に情報量が多過ぎて思わずカオスと言いたくなるような状態にある。予測不可能な様子が人間の認知に与える負荷はかなり大きいのではないのかと思うのだが、人々がここで生きているということを強く印象づけるのも確かなのである。
暗殺コンサル
『暗殺コンサル』を読む。ハーパーBOOKSから刊行されている韓国製の小説で、自然死に見える暗殺計画の立案を職業的にすることになった男の手記の体裁で物語はすすむ。語り口はちょっと村上春樹っぽい。ハーパーBOOKSでは台湾からの翻訳になる『炒飯狙撃手』も面白かったけれど、この話もなかなか面白くてページが捗る。さまざまな国に全く異なるタイプの才能があり、しかしこのグローバルな世界では全くわからないというほどの異質さでもなく楽しめるので、こうした作品の発掘と翻訳という仕事はまったくありがたい。
この日はシンガポール経由でインドのベンガルールまで移動。バンガロールの名称が変わったということは意識していなかったけれど、インドのシリコンバレーといわれる当地の雰囲気は新興地域に特有の活気があって、成長そのものがこれからというポテンシャルを滾らせている。