早朝営業

インドから日本への帰路。中継地のチャンギ空港へは午前6時の到着だったのだけれど、もともとショッピングモールかと見紛う空港内はすべての店舗がフルスペックで営業していて、経済を回すというのはこういうことだろうとと驚嘆する。ハブ空港である以上は朝から行き交う旅客も多いとはいえ。

18時のあずさに乗り、20時半には家に帰り着く。インド内陸から24時間内に帰宅できること自体は驚くべきことだとしても、長い。

植民地時代

この地は2006年にベンガルールというように名前が変わったのだが、バンガロールという耳馴染みのある呼び名は浸透していて、しかし植民地名称の再評価における名称変更だと聞けば無邪気にバンガロールというのも憚られる。とはいえ、欧米の人間は、そんなことを全く気にしていないようである。

この日、日中は長時間のミーディングをして夜、空港に移動。途中、食事をしたりもしたのだが、23時過ぎのフライトで帰路について、ほとんど1日がかりの長い移動となる。

バンガロール

初めてのバンガロール改めベンガルールは、近年、多くの点で近代的な都市化がすすんでいるという話で、空港などは小綺麗な感じになっているけれど、街中を走れば生活はそこにあり、エントロピーは発散に向かい運動して、単に情報量が多過ぎて思わずカオスと言いたくなるような状態にある。予測不可能な様子が人間の認知に与える負荷はかなり大きいのではないのかと思うのだが、人々がここで生きているということを強く印象づけるのも確かなのである。

暗殺コンサル

『暗殺コンサル』を読む。ハーパーBOOKSから刊行されている韓国製の小説で、自然死に見える暗殺計画の立案を職業的にすることになった男の手記の体裁で物語はすすむ。語り口はちょっと村上春樹っぽい。ハーパーBOOKSでは台湾からの翻訳になる『炒飯狙撃手』も面白かったけれど、この話もなかなか面白くてページが捗る。さまざまな国に全く異なるタイプの才能があり、しかしこのグローバルな世界では全くわからないというほどの異質さでもなく楽しめるので、こうした作品の発掘と翻訳という仕事はまったくありがたい。

この日はシンガポール経由でインドのベンガルールまで移動。バンガロールの名称が変わったということは意識していなかったけれど、インドのシリコンバレーといわれる当地の雰囲気は新興地域に特有の活気があって、成長そのものがこれからというポテンシャルを滾らせている。

成田

出張の前泊移動で成田まで。盆休みも終盤で前日には台風とあって、新宿に向かうあずさは指定席完売の混雑だが、スケジュールばかりはどうにもならないのが渡世の事情というものである。空港第2ビルから、やたらと狭く曲がりくねった道を、送迎の大型バスで切り返しも駆使しつつ抜けて成田空港周辺にいくつかあるホテルのうちのひとつへ。出発のためのホテルというキャッチフレーズがあって、なるほどと思う。何しろ成田なので周辺には何もなく、ホテルにコンビニは入っているけれど、なかなかの混雑である。早めに就寝。

宝珠

この日、台風7号は時速15キロ程度のゆっくりしたスピードで関東に近づき、その過程で勢力をさらに強めて中心気圧は940hpaまで低下し、非常に強い台風となる。時速200キロを超える風が吹きつける台風が上陸したとすれば、いずれ大きな被害を生じたに違いないのだが、ウィンドマップでみるこの台風は千葉県沖に渦を巻き、龍の手元の宝珠のようになって列島をかすめる。中心付近の力が強いがために、その境界では勢力の強弱がより鮮明に見えるタイプの台風のようである。

翌日から成田に移動する日程で18日のフライトを予定していて心配していたのだが、今のところ大きな影響はないみたい。

終戦の日

終戦の日。戦後79年となれば、伝えるニュースも記憶の風化を多く扱っている。近年の第2次安倍政権下では敗戦についてのコンテンツさえどことなく息を潜めているような空気があって、戦前というのはこのようにしてやってくるのだと考えていた時分からすると、だいぶマシになったような気がする。時の流れにあって遠くなることより、これを封殺しようとする勢力があることのほうが、問題であろう。

台風7号は関東に向かって北上を続け、現時点で上陸の可能性は低くなっているものの、千葉沖をかすめて大雨と強風をもたらす見込み。海水温の高まりがこの発達に手を貸して、最大瞬間風速60mという強い勢力はさらに強まる可能性すら残している。